本論文では,日本における全国がん罹患数の推定値における登録の完全性を補正する数理的手法に着目した.全国がん罹患数は,現在全国がん登録により把握されているが,以前は地域がん登録データに基づいて推定されてきた.しかし,地域がん登録データには登録漏れが内包されており,それが全国値に影響を及ぼし過小評価されている可能性が指摘されていた.そこで本論文では,登録の完全性を数理モデルにより補正する手法に着目し,完全性の指標を用いた二項回帰モデルに基いた手法をアップデートした.その手法を2015年データに適用し,実際に登録率の推定を行い,手法の妥当性に関する検証を行った.
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