近年,佐賀県下のタマネギ栽培地で夏期貯蔵申のタマネギにFusarlum3菌による
乾腐病
が広く発生している。本研究は盤茎腐敗のタマネギから分離したfusarium属の4菌株につき,それらの病原性および形態的差異を既知のF.oxysporum f.sp.cepaeおよび他のF,oxy-sporumと比較することにより同定を行なった。各菌株の病原性の比較はこれらの菌株の菌そうをタマネギ鱗片および苗に接種することによって行なった。本実験で分離した4菌株は対照として供試したF.oxysporum f.sp.cepaeと同様に鱗片および苗に病原性を有するが,F.oxysporum f.sp.allii,F.oxysporum f,sp.tu-lipaeおよびF,oxysporum f.sp.asparagiには病原性はみられなかった。各菌株の形態的比較を分生胞子について調べ比較した。その結果,分離菌株R-1の小型分生胞子の大きさは14.3×2.7μ,大型分生胞子の大きさは33.9×3.4μで,本菌株は病原性および形態からF.oxysporum f,sp.cepaeと同定された。F.oxysporum f.sp.cepaeによる吊り貯蔵中のタマネギの
乾腐病
は6月下旬から7月下旬にかけて発生した。ベノミル剤の10,000ppm液に苗浸漬した場合は有効で実用性があるものと思われた。
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