胆管疾患に対する内視鏡治療としては経乳頭的治療の進歩, 普及が目覚しいが, 一方で経皮経肝胆管鏡(PTCS)の役割もまた大きい.
対象疾患のうち, 良性疾患のほとんどは結石治療であるが, PTCSの適応としては, 肝内結石およびERCP困難例における総胆管結石が対象となる. 特に肝内結石の治療においては, 適切な治療をすることによりほぼ完全截石が期待できるが, 適切な位置にルートを確保することと, 併存する狭窄に対する適切な対処を行うことが不可欠である.
悪性疾患では, 腫瘍に対するablation治療がほとんどであるが, レーザーやマイクロ波などが使われている. 適切な焼灼により閉塞した胆管の開通を得ることが期待できるが, 隣接する門脈など脈管の情報を事前に得ておくことが重要である. また, マイクロ波を胆管に留躍したSelf-expandable metallic stentが閉塞した際の再開通目的に用いることができるが, これは非常に安全かつ有効である. またablation治療は狭窄解除だけでなく, 粘液産生胆管癌における粘液量減少の目的でも用いられる. 粘液産生胆管癌では, 粘稠な粘液が題管内を占拠するために, 減黄や胆管炎の改善が困難な場合があるが, 粘液を産生する上皮に対しablationを行うことで粘液量が減り, コントロールが付きやすくなるという報告がある.
PTCSはPTBD瘻孔作成を要することから, 内視鏡的アプローチと比べてやや侵襲が大きい欠点があるが, 現在のところ本法を用いなければ解決し難い病態があるのも事実である.患者の負担の軽減だけでなく, 細い肝内胆管の観察能向上のために, スコープの細径化が望ましい. 今後の技術革新により, 鮮明な画像と十分な太さの鉗子チャンネルを有しながら, さらに細径化された電子スコープが市販されることを期待したい.
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