熱天秤を用いて種々のカーボンブラックの揮発分量と着火温度を測定した。揮発分量は窒素気流中における1300℃までの発生量と温度の関係を連続的に追跡したが,チャンネルブラックの揮発分はファーネスブラックより多く,ファーネスブラックの中では真比重やヨウ素吸着の測定結果から, 生成温度が高いと考えられるものは揮発分が少なく,かつ900℃以上の高温で発生するものの割合が大きい。ファーネスブラックで製造方式を同一として, 石油系原料油を用いた場合には,石炭タール系の原料油の場合より揮発分が多くなる。また圧縮粉砕処理を行なうと,処理時の発熱によって表面が活性化され,空気中から酸素や水分を吸着しやすくなるため,揮発分が増加する。酸素気流中における着火温度は,ファーネスブラックは350~385℃であり,チャンネルブラックは290℃付近であるが,2600℃で熱処理すれば,いずれも黒鉛の575℃に近い値となる。灰分中のアルカリ金属は着火温度を低くする傾向がある。
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