背景: 成人の第3脳室に発生したchordoid glioma (脊索腫型膠細胞腫) の1例を経験し, 圧挫・捺印細胞診像を検討したので報告する.
症例: 42歳の女性で, 2年前より記銘力低下, 1年前より仕事中の意識消失が出現した.CT, MRIでは境界明瞭, 内部不均一で辺縁部に嚢胞の形成を伴う3.5cm大の第3脳室腫瘍が認められた. 摘出腫瘍の圧挫・捺印細胞診標本にて, 腫瘍細胞は緩やかに結合し, 平坦に配列するシート状上皮様細胞と個々に分散する単離細胞を認めた. 核は偏在し, 類円形で一部不整を認め, 2核も散見された. 核小体は小型で1~2個認めた. 細胞質はライトグリーン好性で, 泡沫状または厚みがあった. 組織学的には, 腫瘍細胞は比較的大型の好酸性細胞質で, 索状から小集塊状に増生していた. 核は均一な小型類円形で, 核分裂を認めなかった. 問質は粘液状で成熟リンパ球, 形質細胞浸潤を伴っていた. 免疫染色では, GFAP, vimentinが陽性, S-100蛋白, ケラチン, EMAは陰性であった.
結論: chordoid gliomaは細胞形態上, 脊索腫や脊索腫型髄膜腫に類似するが, chordoid gliomaの存在を理解することが大切である.
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