近年, 日本国内における高齢者の歯周疾患の有病率が増加している。本研究は1)
介護老人福祉施設
入居者の歯周疾患罹患状況の調査, 2)今後遂行される縦断研究のベースラインデータの作成を目的とした。東京都および山梨県の9施設において, 54~101歳の歯を有する入居者215名を対象とした。すべての被験者の現在歯数, プラーク指数(PlI), プロービングデプス(PPD), 臨床的アタッチメントレベル(CAL), プロービング時の出血(BOP)の記録を行った。被験者を65歳未満, 65~74歳, 75~84歳, 85歳以上の4群に分けて分析した結果, 現在歯数は75歳以上の2群において他の群より有意に少なく, PlIは有意に高い傾向が認められた。平均PPD, CALおよびBOPはそれぞれ2.6±0.8 mm, 3.0±1.1 mm, 32.0±29.7 %であった。また被験者の39.5 %に6 mm以上の歯周ポケットが認められ, 76.5 %に5 mm以上, 17.8 %に9 mm以上のアタッチメントロスがみられた。この結果から,
介護老人福祉施設
入居者の歯周炎進行のリスクの高い被験者を特定し, 歯周病の予防のため, 専門家によるケアを行う事が必要と考えられた。
日本歯周病学会会誌(日歯周誌)51(3) : 229-237, 2009
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