2017 年 40 巻 1 号 p. 33-37
目的:介護老人福祉施設入所者において,緊急入院のリスク因子を検討することを目的とする.
方法:埼玉県内にある2ヵ所の介護老人福祉施設に,2013年5月1日の時点で1年間以上入所している170例を対象とし,過去起点コホート研究を行った.先行研究を参考に,研究者らが臨床的に重要であると考えた因子も加えて,それらの17項目と1年以内の緊急入院の有無との関連について検討した.単変量解析を行い,P<0.05を基準として変数選択を行い,多変量解析を行った.
結果:1年以内の緊急入院は70例(41.2%)で認めた.多変量解析(ロジスティック回帰分析)で有意な因子は,慢性心不全(OR:5.73,95%CI:1.37-23.84)・褥瘡(OR:16.70,95%CI:1.89-147.41)・1年で5%以上の体重減少(OR:2.47,95%CI:1.07-5.68)であった.
結論:介護老人福祉施設入所者において,「慢性心不全」・「褥瘡」・「1年で5%以上の体重減少」が,緊急入院のリスク因子であった.