軟弱地盤上の高速道路盛土において,予測値よりも大きな残留沈下が長期間に渡って発生している箇所がある.その多くは,軟弱地盤構成は上部に陸成粘土または砂質土でその下部に厚い海成粘土を有するものが多い.一般に海成粘土は, 鋭敏比が高く,圧縮性が大きく,透水係数が低いため,圧密が長期化しやすい特徴を有する.その代表となる沈下事例をとりあげ,何故予測を超えた大沈下が生じたのか,また何故沈下が遅れたのかを,盛土構築による海成粘土の強度,圧密特性から骨格構造が発達した自然堆積粘土の有効応力状態が,「圧密降伏圧力」あたりを超えると,構造の劣化が顕著に生じはじめ,いわゆる塑性圧縮を伴う軟化が起こるためであると考察した.
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