本研究では, 野沢温泉村の湯沢神社
例祭
を事例として, 観光地における地域の伝統行事は, どのような組織によって, どのように継承されているのかを明らかにした。
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を代表する催しである「燈電行列」における中心担い手の変遷をもとに,
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を時代区分すると, 若者組と称するグループによる「隆盛期」, 24人の有志による「変革期」, 舞楽保存会による「復活期」の三つの時代に区分できる。各時代ごと,
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に関わる諸業務の担い手,
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に関する経済的な側面等を検討した結果,
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の継承過程において, 村落共同体「野沢組」が, 舞楽保存会の設立等, 燈童行列における舞楽の保存・継承の基盤を形成し, また
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における野沢組主導の三夜講(さんやこう)や村人足による活動等に鑑みても, 野沢組は
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全体の運営・継承にも大きな役割を果たしていることが明らかとなった。また村落共同体的な地域組織の存在が, 観光地における文化の持続可能性にとって重要な要素であると指摘している。
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