偽性アルドステロン症
にうっ血性心不全を合併した症例を報告する. 79歳の女性が心筋梗塞後の狭心症で入院した. 狭心痛はよくコントロールされたが全身倦怠感が出現, 検査所見から急性肝炎と診断された. グリチルリチン80mg/dayの投与が開始された. 2週間後, 患者が呼吸困難を訴え著明な心拡大と肺うっ血が胸部X線写真で認められた. 検査所見では低カリウム血症, 低レニン, 低アルドステロン血症が認められた.
偽性アルドステロン症
とうっ血性心不全と診断された. グリチルリチンの投与が中止され, 利尿剤, 酸素, カリウムの投与が行われた. うっ血性心不全の症状と低カリウム血症は約10日で軽快, 正常化した.
偽性アルドステロン症
の時には高血圧と浮腫がよくみられるが, うっ血性心不全の合併はまれで, わずか2例の報告しか文献的にはみられない. 心筋梗塞による潜在的な心機能の低下がうっ血性心不全の発症に関与しているものと思われた.
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