宮城県内には, 農地地すべり防止区域が4地区に存在する。これら4地区の管理は,「地すべり等防止法」に基づき県知事が行っており, 県費を充当して地盤挙動および地下水位変動等を継続観測している。しかし, 観測管理で使用する地表面伸縮計, 孔内傾斜計, 地下水位観測計などの精密機器は, 高額で耐用年数が短い (10年程度) といった問題があり, 更新整備時の経済的負担は大きく継続的な観測をより効率的かつ経済的に行観測手法の確立が, 喫緊の課題となっている.農地地すべり防止地域の一つであり比較的規模の小さな錦織地区においては, 経年の観測データを解析した結果, 観測手法の簡素化を図ることが可能であった。本報では, その検討経緯を紹介し, 加えて, 地すべりの発生に対する安全性の向上を図るための今後の技術的展望について述べる。
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