林業経営の後継を,所有森林の後継,森林管理作業の後継,林業経営方針の後継の3つの視点に分けて,
卒業論文
指導をする教育の現場から後継者についての課題の考察をした。東京農業大学森林経営学研究室における1989年〜2007年の
卒業論文
459の中から親が森林所有者で林業関連産業に就いている87名を対象にして,
卒業論文
指導を通じて確認した林業経営の方針と,その後継の状況について現状を分析した。後継者の状態は,森林管理作業を自力で行う場合,森林管理作業を委託して行う場合,山村での生活を重視する場合,所有森林を後継する場合に分類し,林業経営者が親である世代の希望,その子息である後継者の意識その他(林業,生活,地域)の条件で変化すると考えた。調査の結果,
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題目では,自営の林業や林産業を取り上げた割合が高かった。また,後継者の卒業後の進路は,林業だけでなく他の産業との複合経営も含めて29名(33.3%)が自営を後継していた。厳しい林業事情の中で,林業経営方針を変更や修正を行いながら引き継いだ森林を維持している状況であり,林業経営方針の独自性が失われつつあることがわかった。
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