Candida albicansで頻繁に観察される染色体サイズの多型現象の研究が発端となって,
反復配列
RPSが発見された.RPSはゲノム内に60-80コピー存在し,いくつかの染色体では複数のRPSが直列に配置している.多数のRPSをゲノムDNAよりクローン化し,塩基配列を決定したところ,多くの興味ある事実が得られた.RPSには172bpからなる内部
反復配列
altが存在し,この配列の繰り返しの多様性がRPSのサイズ,塩基配列の多様性を生み出していることが明らかになった.RPSの解析を進める過程で,RPSに隣接した領域が,RPS同様に各染色体に存在していることがわかってきた.ノーザン分析の結果より,この領域がRNAに転写されていることがわかった.そこで,cDNAライブラリよりクローン化して配列決定を行ったところ,機能すると予想されるORFが存在しなかったことから,この領域がRNA分子として働いていることが想像された.最近になって,RPSに隣接する新規
反復配列
を発見し,これらの
反復配列
群がまとまって染色体の構成や機能に必須の役割を果たしていると考えている.
C.albicansをめぐる以上のようなゲノム,遺伝子に関する情報は,インターネット上に蓄積され,研究者が共有できる情報としてますます充実しつつある.
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