高校生が授業場面において少人数で協同して『源氏物語』本文テキストを速読し、あらすじを推測するという難度の高い読解課題に取り組んだ過程をプロトコル・データから分析した。その結果、生徒たちは共有する目標の達成に向けて相互に協力しあって読解を進めており、次の1から6の過程からなる「協同的問題解決方略」が使われていることが示唆された。1.グループ内の高密度な相互交流の促進、2.他のメンバーの発言や反応のモニター、3.不明箇所(空所)を埋めるための自己の先行知識および他者の知識・意見の積極的な活用、4.文脈理解による活発な推論、5.メンバー全員の合意による暫定的な解釈の成立、6.ストーリーの全体構造の認知による部分の解釈の修正、整合化。
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