消費生活において, 特に被服の問題を考える時, 用途や素材とあいまって大切なことは色形の問題であろう.
そこで私は, 美的観点における1つのよりどころとして, 日本の伝統的な染織品の色彩分析を試みた.
1) 調査対象は,
四天王
寺に現存する舞楽装束で「納曽利」と云う曲目の裲襠と袴, 銀帯である.
2) 調査方法は, 視感比色法により, 色の表示は, 修正マンセル表示でおこなった.
3) 調査結果は, 中明度, 中彩度の緑色を地色とし, 図色は地色を中心としてマンセル色相環上110゜~130゜の配色角をもつ配色構成で, 部分的には補色, 準補色配色となる.明度ではグラデーションと明度対比が立体感とリズム感を助長し, 彩度では, 中彩度が多いが高彩度の色がアクセントとなり「唐織」の特色は彩度面にみられる.
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