1. 本邦各地のッケナ在来品種を集め, おもな栽培品種, 自生種, 外国産の品種とともに種子の形質, とくに種皮型, 地上•地下部の形態, 抽たい期などを調査し, これら形質, とくに種皮型から, ツケナ在来品種の類縁関係と種皮型の地理的分布について検討した。
2.
B. pekinensis, B. chinensis, B. campestris および
B. narinosa に属する品種の大部分は種皮型がB型であつた。ただし広島菜, 大和マナなどはA型, 三月菜などではA型とB型の種子が混在していた。
3.
B. Rapa および
B. campestris に属する品種の種皮型は, 関西地方の品種はA型で, 東日本の品種はおもにB型であつた。
4.
B. japonica に属する品種の大多数は種皮型がA型で, 本種の基本種皮型は前記の諸群と異なりA型と思われた。
5. 雑種群の品種にはB型種皮の品種も相当多いが,
B. japonica の因子を受け継いだと思われる品種の種皮型はA型もしくはA, B混在型であつた。
以上の点からみて, 種皮型はツケナ品種の類縁関係を検討し得る1形質とみることができると思われる。
6. 在来品種の中には毛じを生ずる品種が比較的多かつた。したがつてこれらの品種は毛じをもつ品種から導かれたものと思われる。
7. 京菜以外の暖地産のッケナ品種は冷涼地産の品種より抽たい期が一般に早かつた。
8. ツケナ在来品種の種皮型の地理的分布をみると, カブ在来品種の場合と同様に, 東日本にはおもにB型種皮の品種が, 西日本にはA型種皮の品種が分布している。
9. 以上の点から B. japonica およびA型種皮因子の起源について若干の考察を行なつた。
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