可能な限り多数の測定装置を同時に利用することで、閉鎖的環境の代表例である
地下鉄
構内の空気中粒子状物質の詳細な特性調査を行った。総粒子個数濃度はCPC、ナノ粒子側粒径分布はSMPS、ミクロン粒子側粒径分布はAPS、ミクロン粒子側粒子個数濃度はOPC、粒子状物質の帯電状態は自作の帯電粒子測定装置K-MACS、PM
2.5濃度はポータブルPM
2.5濃度計、粒径別の個別粒子の元素組成はSEM/EDX、フィルター採取された粒子の元素組成はEDXRFにより測定された。
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構内におけるPM
2.5質量濃度は、列車の到着本数が過密になる7–8時台を過ぎた時間帯にピークを示した後徐々に減少し、午後になると約50–120 μg/m
3の範囲でほぼ定常的な上昇と減少を繰り返した。
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構内のPM
2.5質量濃度は、屋外と比較して約2–5倍であった。
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構内においては、屋外大気と比較して粒径0.5 μm以上の比較的粗大側の粒子が高濃度となった。
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構内のFe、Ti、Cr、Mn、Ni、Cu、Znなどの金属類は、屋外観測地点の数十から数百倍の高濃度であった。一方で、Sの濃度は
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構内と屋外観測地点で大きな違いは見られなかった。0.5–1.0 μmの粒径範囲においては、
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構内の粒子の約70%以上は帯電していた。
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構内における粒子状物質濃度は屋外と比較して高く、かつ
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構内ではFeを含んだ粒子が多いことは、過去の研究例と同様の傾向であった。このことに加えて、本研究では複数の測定装置により、粒径による元素組成の違いや、粒子の帯電状態などといった、
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構内空気中粒子の詳細な特性を把握することができた。
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