2011 年 13 巻 4 号 p. 010-021
2010年8月に開始された「東京の地下鉄の一元化等に関する協議会」は,国,東京都,東京メトロのそれぞれの主張があって,難航の兆しがある.本稿は,都営地下鉄とメトロの統合,メトロの完全民営化及び利用者サービス改善の関係を歴史的な経緯から,分析するとともに,これまでの著作で分析の重点になかった最近の一元化についての都の主張の背景を探求した.また,本稿では,各種調整手段に関連して統合や運賃水準統一の是非を検討するとともに,交通調整の根拠であった陸上交通事業調整法がまだ生きていることから,その復活適用の可能性や独占禁止法との関係についても論じた.