「温度」は児童・生徒にとって日常用語として使われ身近な言葉といえる。しかし,量概念の一つである「温度概念」は,面積や体積などの量概念と異なる特質を持ち,それだけにとらえにくい概念といえる。筆者らは,小学生及び中学生の持つ温度概念について,示強変数としての温度,容器やその周囲の諸条件を変えた時(知覚的に変化させた時)の温度感覚の二面から質問紙法で調査し,児童・生徒の温度概念獲得の傾向性を調べた。その結果,以下の事項が明らかになった。(1)温度概念の定着度は,小1~小3, 中 1~中 2の2つの時期に大きな伸びが見られる。(2)小3~中1,中2~中3の時期には,温度概念獲得率の増加はほとんど見られない。(3)小学校低学年では,温度概念の定着度は極めて低い。(4)学年を問わず,水の深さ,容器を置いてある場所のちがいに温度感覚は惑わされやすい。
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