ドップラーレーダーの速度成分のデータを用いて雷雲に伴う突風前線の微細構造を調べた。速度成分の
変曲点
の面的分布(アンテナの水平回転による)をスペクトル幅及び水平シアーと同時に調べた。解析は,米国オクラホマ州における,1981年5月9日と4月13日の2例について行った。前者の例では,3つの不連続な波状列をもつ,発達した波が識別された。このうちの2つの波は60km程度の長さをもつ
変曲点
の列であったが,第3の波は識別限界すれすれであった。解析した2例とも,主な突風前線の後方の2次的な構造は,長さ20km以下で継続時間の短いものであった。注意深い解析により,低高度では,大きなスペクトル幅と大きな水平シアーをもつ領域は主な
変曲点
列のすぐ後方にあることがわかった。しかし,対応する
変曲点
列をもたない,大きなスペクトル幅や大きな水平シアーをもつ領域も存在した。このように,スペクトル幅や大きな水平シアーの値のみから突風前線の位置を検出することは困難である。
変曲点
列は,突風前線の位置を示すだけでなく,種々の波動の位置の良い指標であることがわかった。さらに,突風前線前方の気流中にみられたこのような波のパターンについても議論する。
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