地理学の基礎資料となる地形図等に関わる「地理空間情報活用推進基本法」が2007年8月施行され、日本で公的に発行されるすべての地図がデジタル化されて供給されることになった。これにともない、GIS・GPSの利用推進が積極的に行われている。しかし地図のデジタル化は国家事業として1996(平成8)年の測量作業規程から同じような施策において進められたが、その時は地方公共団体が動かず、大縮尺の地図のデジタル化は進まなかった。今回の法改正にともなう地図のデジタル化は、測量・地図作製
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の技術業務を大幅に変化させる事柄であり、一
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の存続に大きく関わる問題である。本研究の目的は、小規模
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の経営にプラスの効果を及ぼすであろう簡易GPSの精度と活用の有効性についても検証した。簡易GPSはMSASSを受信することにより、DGPSで移動計測の精度が向上し、計測時刻と同じ電子基準点の成果による後処理解析により信頼性の高いデータが得られるまでに進化している。準天頂衛星が運用されると各メーカーがそれに対応し、さらなる精度の向上が期待される。また当初の構想の通り地上衛星が整備されると、ビルの谷間や地下空間においても使用可能なため利用範囲に隙間のない機器になり得ると考えられる。 これまでの検証で1/2,500地図に使用可能と考えられるデータを取得しているが、安定性に不安があった。そこで計測器本体を改良する必要があるかを検討する。次に観測環境として
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に障害物がない河川敷公園と障害物がある樹林内の公園を選び、更に数値的な差を求めるために街区基準点のある道路上において繰り返し検証を行った。その結果観測方法を注意するとともにパラメータを調節した結果,縮尺1/1,000に迫る精度と安定した線形を取得することができた。
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