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クエリ検索: "学校法人栗岡学園"
8件中 1-8の結果を表示しています
  • メタアナリシス
    小林 功, 川原 勲, 森 拓也, 赤松 眞吾
    理学療法学Supplement
    2014年 2013 巻 0384
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに,目的】VerheydenやDi Monacoによると体幹機能はバランス能力,日常生活活動(以下ADLとする)能力と相関があり,急性期における体幹機能レベルは退院時のADLのよい予後予測因子であると報告されている。しかし,体幹機能を向上させる運動プログラムは明確ではなく,体幹運動が体幹機能,バランス能力,ADL能力を改善するか不明である。本研究の目的は,脳血管障害者に対する体幹運動は通常の運動と比較して体幹機能,バランス能力,ADL能力を改善するかどうかを明らかにすることである。【方法】脳血管障害者に対する体幹運動の治療効果に関する論文を検索した。Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL),Physiotherapy Evidence Database(PEDro),MEDLINE(PubMed)にてキーワードをStroke,Trunk,Exerciseとして検索した。さらに,引用文献リストよりハンドサーチを行った。調査期間は1996年1月から2013年7月に発行された論文とした。適格基準は,脳卒中症例に対して体幹運動(体幹を中心に動かす課題等)を行い,その効果を検証した無作為化比較試験(randomized controlled trial:以下RCTとする)とした。除外基準としてRCTでない論文,英語で書かれていない論文,治療効果に関するものでない論文とした。主研究者と共同研究者の2名にて,採択論文をPEDro Scaleを用いて質の評価をした。結果が異なった場合は両者にて検討,合意を形成して評価を下した。統合可能であった評価項目に対してメタアナリシスを実施した。解析方法として運動介入群とコントロール群の数値に対してStatDirectを用いてメタアナリシスを行った。統合するデータに均質性がある場合には母数効果モデルによる統合結果を,異質性を認める場合には変数効果モデルのDerSimonian-Lairdの方法による結果を採用した。均質性の検討と統合結果の有意性の検定は危険率5%未満を有意とした。【倫理的配慮,説明と同意】本研究はデータベースを用いた論文研究であり,所属大学の倫理委員会の承認が必要な研究には当たらない。【結果】データベースより197編が該当し,適格基準と除外基準を満たした11編より,重複論文・体幹運動と通常のリハビリの比較でないものを除外し,3編のRCT論文をメタアナリシスの対象とした。3件より統合可能であった評価項目はTISのみであった。バランス能力やADL能力に関する評価項目は研究間で異なり統合することはできなかった。TIS totalにおけるメタアナリシスの結果,2編の論文は異質性を認め有意差がなかった。体幹運動はTISを改善する充分な効果はない。Wimによる研究ではweighted mean difference5.51(3.00-8.01)と効果があり,Geertによる研究では0.5(-1.51-2.51)と効果がなかった。異質性を認めた為,サブ解析を実施したがTISstatic/Dynamic/Coordinationとも有意差なし。Wimによると各項目とも統計学的に有意差を認めている。GeertによるとDynamicのみ有意差を認めた。と報告されていたが,統合した結果体幹運動はTISに対して効果が明確ではなかった。【考察】研究間の異質性を認め,明確な結論を得ることはできなかった。体幹運動は体幹機能を改善させるとはいえない。バランス能力,ADL能力に関しては評価項目の統合ができず,メタアナリシスは実施できなかった。このような結果になった理由として研究間の評価項目に相違を認めたこと,運動プロトコルが様々であること,研究数が少ないことの影響が考えられる。【理学療法学研究としての意義】脳血管障害者に対する理学療法介入を科学的根拠の下,実施することに繋がる研究であると考える。現状は体幹機能,バランス能力,ADL能力に対する体幹運動の効果は改善するとはいえないことが明らかとなった。
  • 福田 章人, 澳 昂佑, 奥村 伊世, 川原 勲, 田中 貴広
    理学療法学Supplement
    2014年 2013 巻 0026
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに,目的】国内において内側型変形性膝関節症(膝OA)患者は2400万人いると推測されている。膝OA患者は高齢化社会となり年々,増加している。膝OA患者では,疼痛から日常生活での活動量が減少することにより下肢筋力が低下し,更に膝OAが進行するという悪循環を招いてしまう。膝OA患者は歩行立脚期における膝内反モーメントの増加によって,膝関節内側コンパーメントの圧縮応力が増加し,痛みが誘発されることが明らかとなっている。さらに膝内反モーメントの増加によってlateral thrustが出現する(Schipplenin OD.1991)。これに対して外側広筋は1歩行周期において筋活動を増加することによって膝内反モーメントの増加やlateral thrustによる側方不安定性に寄与し,初期の膝OAにおいては膝内反モーメントを制動することが知られている(Cheryl L.2009)。しかしながら,この外側広筋の筋活動が立脚期,遊脚期それぞれの周期別の活動については明らかにされていない。この筋活動の特徴を明らかにすることによって,膝関節に対する歩行周期別トレーニング方法の開発に寄与すると考えられる。そこで本研究の目的は膝OA患者における歩行中の外側広筋の筋活動の特徴を表面筋電図(EMG)を用いて明らかにすることとした。【方法】対象は健常成人7名(25歳±4.5)と片側・両側膝OA患者4名(85歳±3.5)とした。膝OAの重症度の分類はKellgran-Lawrence分類(K/L分類)にIIが4側,IIIが1側,IVが2側であった。歩行中の筋活動を計測するための電極を外側広筋,大腿二頭筋に設置し,足底にフットスイッチを装着させた。歩行計測前,MMTの肢位にて3秒間のMVC(Maximum Voluntary Contraction)を測定した。歩行における筋活動の測定は音の合図に反応して,快適な歩行速度とした。解析は得られた波形を整流化し,5歩行周期を時間正規化した。各筋の立脚期,遊脚期,MVCの平均EMG振幅を算出した。各歩行周期の平均EMG振幅は%MVCに正規化した。統計処理はOA患者のEMG振幅とK/L分類の関係をSpearmann順位相関係数を用いて検証した。健常成人とOA患者のEMG振幅を歩行周期別にMann-Whitney U-testを用いて比較した。有意水準は0.05とした。【倫理的配慮,説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言に基づき対象者の保護には十分留意し,阪奈中央病院倫理委員会の承認を得て実施された。被験者には実験の目的,方法,及び予想される不利益を説明し同意を得た。【結果】OA患者のK/L分類と1歩行周期における外側広筋のEMG振幅は有意な正の相関関係を示した。1歩行周期における外側広筋,大腿二頭筋のEMG振幅は健常成人と比較して有意に増加した。また,立脚期,遊脚期それぞれの外側広筋,大腿二頭筋のEMG振幅は健常成人と比較して有意に増加した(立脚期健常成人:21.79±3.63%,膝OA:72.09±19.06%,遊脚期健常成人:15.8±4.3%,膝OA:39.3±18.8%)。【考察】健常成人と比較して,外側広筋の筋活動が増加したことは先行研究と一致した。OA患者のK/L分類と1歩行周期における外側広筋の筋活動が相関したことは,側方不安定が増加するにつれて外側広筋の筋活動が増加したことを示す。さらに遊脚期,立脚期の周期別に外側広筋の筋活動が増加したことは立脚期における側方安定性に寄与する外側広筋の筋活動を遊脚期から,準備している予測的姿勢制御に関連している反応である可能性が示唆された。また,遊脚期において外側広筋,大腿二頭筋の筋活動が増加することにより正常な膝関節の関節運動を行えないことが示唆された。【理学療法学研究としての意義】変形性膝関節症患者の歩行時筋活動を解明することで歩行能力改善を目的とした歩行周期別トレーニングとして,遊脚期における筋活動に着目する必要性を示唆した。
  • ~表面筋電図学的解析を通して~
    今井 愛, 澳 昂佑, 川原 勲, 小林 功
    理学療法学Supplement
    2014年 2013 巻 0838
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに,目的】体幹機能評価として,Trunk Impairment Scale(TIS)が推奨されており,ADLとの相関も報告されている。一方,奥田らにより開発されたFunctional Assessment for Control of Trunk(FACT)においてもADLと高い相関を示すことが報告されている。各評価ともにADLとの関連が報告されているが,評価内容は一致していない。このことは,指標となる体幹筋が異なっている可能性を示唆する。しかしながら各評価の筋活動の特徴は明らかとなっていない。各評価における筋活動の特徴を明らかにすることで,指標となる筋に合わせた評価が可能となり,ADLとの関係性も明らかになると考えられる。よって,本研究の目的は,TISとFACTの各課題を表面筋電図にて測定し比較・検討することとした。【方法】対象は健常成人男性10名(年齢:29.5±7.2歳)とし,TISの各課題7項目とFACTの各課題10項目において,腹直筋・外腹斜筋・内腹斜筋・脊柱起立筋の左右8筋の筋活動を表面筋電図(Noraxon社製myosystem1400)にて測定した。まず,ダニエルスらの徒手筋力テストの測定方法にて,最大随意収縮(MVC)を7秒間測定し,内5秒間でMVCを求めた。各動作は5秒間で行い,10回実施した。各動作の開始と終了をビデオ画面上にて確認した。背臥位での安静筋電図を測定(平均振幅+3×標準偏差)し,以上を筋活動ありと定義した。測定したデータは整流平滑化処理を実施し平均振幅を算出,各動作における平均振幅から正規化した筋活動量(%MVC)を算出した。時間・量の正規化を行い,各動作における筋活動パターンを算出した。【倫理的配慮,説明と同意】阪奈中央病院倫理委員会の承認を得て,ヘルシンキ宣言に基づいて対象者の保護に留意し,説明と同意を得た。【結果】TISでは「自動脚組み」の右12.1%MVC,左13.1%MVCが最も高く,その他の項目は1.7~4.8%MVCの筋活動であった。FACTでは,「両下肢挙上」が右29.8%MVC,左26.7%MVCと高い筋活動を示したが,その他の動作では,1.8~10.0%MVCの筋活動が中心であった。[外腹斜筋]TISでは「自動脚組み」の右62.4%MVC,左44.5%MVCが最も高く,続いて「ベッド触る」が右49.6%MVC,左54.3%MVC,「骨盤挙上」が右49.8%MVCと高い筋活動を認めた。FACTでは,「両下肢挙上」の右69.7%MVC,左65.4%MVCが最も高く,続いて「右後方振り向き」で左62.5%MVCであり,その他の動作では3.1~40.1%MVCの筋活動を認めた。[内腹斜筋]TISでは「自動脚組み」が右22.6%MVC,左29.8%MVCで最も高く,その他の動作も3.5~25.6%MVCの筋活動を認めた。FACTでは「両下肢挙上」が右53.1%MVC,左53.0%MVCと最も高いが,その他の動作は2.4~19.1%MVCであった。[脊柱起立筋]TISでは「骨盤挙上」の右43.4%MVCが最も高く,続いて「下部体幹回旋」が右39.0%MVC,左22.4%MVC,「ベッド触る」が左30.6%MVC,「上部体幹回旋」が右29.3%MVC,左23.2%MVCの筋活動を認めた。FACTでは,「右前方リーチ」が右58.7%MVC,左34.7%MVCと最も高い筋活動を示した。続いて「臀部右移動」で右55.3%MVC,左39.2%MVC,「右骨盤挙上」で右49.1%MVC,「骨盤前後移動」で右45.5%MVC,左39.6%MVCの筋活動を認めたが,「両下肢挙上」では右13.1%MVC,左11.1%MVCと低い筋活動を認めた。【考察】各筋活動に注目すると,腹直筋では,TISはFACTと比較して半分以下の筋活動しか確認されなかったが,FACTにおいては腹直筋に高い筋活動を必要とする課題構成であった。外腹斜筋では,両者共に外腹斜筋の高い筋活動を必要とする課題構成であった。内腹斜筋では,TISでの筋活動は少なく,FACTは高い筋活動を必要とする課題構成であった。脊柱起立筋では,TIS・FACT共に脊柱起立筋の筋活動が中心の課題構成であるが,FACTに関しては,脊柱起立筋の筋活動を低く保つことが必要な課題もあり,動作内で筋活動量の上下が大きい課題が含まれている。総括すると,TISは腹直筋の筋活動が全体的に低い課題構成となっており,腹直筋については個別で測定することが望ましいと考える。FACTに関しては腹直筋・外腹斜筋・内腹斜筋・脊柱起立筋全体が活動することから,体幹筋の筋活動を総合的に評価できる課題構成となっていることが示唆された。【理学療法学研究としての意義】健常人での筋活動パターンを知ることで,脳卒中症例における体幹機能評価において,動作観察における分析の一助となると考えられる。
  • 杉本 圭, 中根 征也
    生態心理学研究
    2013年 6 巻 1 号 83-84
    発行日: 2013/04/01
    公開日: 2021/03/31
    ジャーナル フリー

    【はじめに】本研究では継ぎ足歩行について,単純に床上で継ぎ足歩行練習を行う方法と床面の上に縄を設置してその上で継ぎ足歩行練習を行う方法について立位バランス能力でその効果を比較検討した.【対象と方法】被検者は健常者 20 名とした.被検者を床に設置した縄の上で継ぎ足歩行を実施する群(以下,縄群)とビニルテープの上で継ぎ足歩行を実施する群(以下,テープ群)の 2 群に 10 名ずつ分け,静止立位での重心動揺検査,立位での重心可動域検査を各群で継ぎ足歩行を実施する前後で測定した.【結果】重心動揺検査の面積・総軌跡長は両群ともに継ぎ足歩行後の変化は小さかった.一方,重心可動域検査の面積は,縄群の継ぎ足歩行後の値が前値に比べて増大し,テープ群では,継ぎ足歩行によって減少する傾向を認めた.左右移動距離の変化は,両群ともに小さかったが,前後移動距離は縄群で継ぎ足歩行後の値が前値に比べて増大し,テープ群では減少した.【考察】縄の上を継ぎ足歩行する課題により,静的立位バランスの向上は認めなかったが,動的立位バランスの向上を認め,単純な歩行練習を繰り返すより,縄の上を歩くという,より支持面を探索的に行う歩行練習の方が,効果的に患者のバランス能力を向上させる可能性があることが示唆された.

  • 森 拓也, 宮川 良博, 澳 昴佑, 橋本 雅史, 森井 裕太, 小林 功, 川原 勲
    理学療法科学
    2018年 33 巻 5 号 779-782
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/26
    ジャーナル フリー
    〔目的〕表面筋電図(EMG)の周波数解析にて,筋線維別周波数分布割合の評価を行う方法を検討することである.〔対象と方法〕健常成人24名とした.腓腹筋の随意収縮(VC)と最大随意収縮(MVC)の等尺性収縮中の筋活動をEMGで測定した.パワースペクトラム分析にて0~260 Hzにおける周波数分布における振幅の割合に変換した.それらを筋線維別に比率化し,周波数パターンと解析を行った.〔結果〕VCとMVC間で筋線維別周波数分布割合に有意差は認めなかった.また,解析にて得られたType I,Type II線維の比率はVC群でType I41.4%,Type II58.5%,MVC群でType I47.1%,Type II52.8%であった.〔結語〕本研究の解析方法では,腓腹筋は収縮強度に関わらず一定の周波数パターンであることが明らかとなった.
  • *中根 征也, 大西 智也, 杉本 圭, 佐竹 勇人, 木村 保
    近畿理学療法学術大会
    2010年 2010 巻 108
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/15
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】我々、理学療法士にとって関節可動域訓練を実施する場面は非常に多い。鶴見ら(1991)によると理学療法士を対象とした調査において日常業務の中で最も多く実施している理学療法内容であるとしている。また、具体的な関節可動域訓練の実態も調査しており、徒手による他動的関節可動域訓練が最も多いとされ、次いでモビライゼーションの順で行われていると報告している。長澤ら(1999)は、自動介助運動と他動運動での関節可動域の差異を調査しており、自動介助運動の方が他動運動に比べて関節可動域の拡大を認めるとしている。このように関節可動域訓練は、理学療法士にとって重要な治療項目であると考えられる。しかし、関節可動域訓練方法と治療効果と実際の動作との関連についての報告は少ないように思える。そこで今回我々は、関節可動域訓練方法の違いと治療効果、側方リーチとの関連に着目した。その結果、関節可動域訓練方法と側方リーチの関連性について若干の知見を得たのでここに報告する。 【方法】健常で身体に異常がなく、日頃は特別な運動を行っていない者で男性7名、女性1名(平均年齢:24.8±2.8歳、平均身長:168.8±7.4cm)を対象とした。方法は、股関節における関節可動域に着目し、対象者8名を徒手による他動的関節可動域訓練とモビライゼーションにて関節可動域訓練を実施する群(以下、ROM-ex群)と関節可動域訓練実施前の可動域測定において動かしにくさを感じた運動を被験者自らで足底が支持面に接した状態で能動的に動かしてもらいながらモビライゼーショも合わせて行う関節可動域訓練を実施する群(以下、能動群)の2群に4名ずつ分けた。股関節屈曲・伸展・内旋・外旋の関節可動域と側方リーチ距離を関節可動域訓練実施前後で測定した。関節可動域と側方リーチの平均値・標準偏差を求め、比較検討した。 【説明と同意】すべての対象者に本研究の内容を十分に説明し、同意を得た上で研究を行った。 【結果】関節可動域訓練前後の角度は、ROM-ex群において屈曲115.0±7.1°から117.5±5.0°、伸展15.0±0.0°から16.3±2.5°、内旋25.0±9.1°から30.0±4.1°、外旋40.0±4.1°から50.0±10.0°に変化し、能動群においては、屈曲112.5±2.9°から116.3±2.5°、伸展15.0±4.1°から17.5±2.9°、内旋30.0±9.1°から41.3±12.5°、外旋は41.3±4.8°から52.5±2.9°に変化した。また、側方リーチは、ROM-ex群において40.8±4.0cmから41.2±3.9cmに能動群では33.6±5.9cmから38.5±6.1cmに変化した。関節可動域訓練方法の違いによって、関節可動域における治療効果に大きな差は無いと捉えることができる。しかし、側方リーチについての治療効果の差は存在すると捉えることができる。 【考察】今回の結果をまとめると、(1)ROM-ex群と能動群における関節可動域への影響の違いはなかった。(2)ROM-ex群と能動群における側方リーチへの影響には違いがあり、能動群の方がその影響は大きかった。冨田ら(2008)は“動かない身体部分は決して知覚できないし、知覚できない身体部分は決して動かない。”と述べている。他動的な関節可動域訓練を行い、可動域の拡大が得られたとしても動きにくい身体部分を知覚できるようになったとは言えず、リーチ動作を遂行するために粗雑で偏った知覚循環で行い、意識して使うことのできる表在の大きな筋で動くことになる。結果、リーチ距離の増大の変化は乏しいものとなったと考えている。一方、能動群では自らの動きにくさを感じ、支持面からの情報を探索しながらの関節可動域訓練であった。そのため、関節のモビリティーが増大したことと今まで動かしにくかった部分を知覚したことによって関節可動域の拡大が得られたと考えている。動かしにくい身体部分を知覚できるようになった結果、現在の身体に見合った知覚循環が可能になり、深層にある小さな安定筋を利用しながら無理なくリーチ動作の遂行ができるようになったと考える。つまり、能動的な動きを含めた関節可動域訓練は、側方リーチ距離の増大影響を及ぼすと捉えることができた。 【理学療法研究としての意義】鶴見らの調査からも他動的な関節可動域訓練が多く実施されているのが現状である。本研究では、自らが動かしにくさを感じ、能動的な動きを含めた関節可動域訓練を行うことによって動作に何らかの影響を及ぼすことが確認された。関節可動域訓練方法を再考する一つの指標となると考える。
  • 家城 恭彦
    日本下肢救済・足病学会誌
    2018年 10 巻 1 号 1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/19
    ジャーナル 認証あり
  • -臨床実習指導者との比較に視点をおいて-
    *中谷 秀美, 藤平 保茂
    近畿理学療法学術大会
    2011年 2011 巻 111
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】臨床実習(以下、実習)は、理学療法士(以下、PT)を目指す学生にとって臨床での理学療法を経験できる重要な学外授業であり、 810時間以上(18単位)を受けなければならない必須科目である。そのためPT養成校の教員は、日頃の学内授業や実習対策に特化した授業やカリキュラムを設け、学生への教育を行っている。また、学生は、実習生として臨床実習指導者(以下、指導者)の指導のもと、さまざまな経験を通して成長していく。その中で、学生が、指導者から「積極性がない」との指摘を受けることがある。これは、実習評価において、しばしば問題視される点である。「積極性とは、自ら進んで物事を行う性質」という概念は一致されているものの、仮に、具体的な指導者が抱く学生の積極性のある行動と学生が抱く積極性のある行動に違いがあれば、「積極性がない」との評価が下されることが生じるであろう。藤平らは、第50回近畿理学療法学術大会において、指導者経験のあるPTを対象にした実習における学生の積極性について調査結果を報告した。そこで本研究の目的は、学生が抱く実習での積極性のある行動とはどのようなものがあるかを調査するとともに、指導者と学生との間に、積極性への捉え方の違いがあるのかを明らかにすることとした。
    【方法】<対象>一度長期実習に参加経験のある奈良リハビリテーション専門学校の3年生22名と大阪河?リハビリテーション大学の4年生30名、および参加経験のない低学年の学生117名、計169名(男性120名、女性49名)であった。 <調査票>独自に作成した調査票を用い、自由記載形式にて回答を求めた。質問内容は、「あなたが思う臨床実習における積極性とは、どのようなことだと考えますか」であった。 <集計>得られた回答をキーワード化にて細分化し、KJ法を用いてカテゴリーに分類した。得られたカテゴリーを多重回答形式での回答とみなし集計した。さらに、これらのカテゴリーを、社団法人理学療法士協会による「臨床実習教育の手引き」第4・5版を参考に、技術教育から生じる行動にて分類した。
    【説明と同意】本研究は、奈良リハビリテーション専門学校および大阪河?リハビリテーション大学倫理委員会規則に従うもので、調査にあたっては、対象者に本研究の主旨を説明し、同意を得た。
    【結果】KJ法により、11このカテゴリーが得られた。さらに、これらを「臨床実習教育の手引き」に沿って分類した結果、得られたカテゴリーは実習への態度面を行動目標とする情意領域と、知識・問題解決面を行動目標とする認知領域にあることがわかった。情意領域は、「取り組み姿勢や態度」(97人、全体の57.4%)、「質問する」(92人、54.4%)、「行動する」(72人、42.6%)、「コミュニケーションをとる」(68人、40.2%)、「連絡・報告・相談をする」(38人、22.5%)、「考える」(17人、10.1%)、「疑問を持つ」(10人、全体の5.9%)、「課題を遂行する」(7人、4.1%)の8カテゴリーで構成され、認知領域は、「自己学習する」(35人、20.7%)、「意見する」(31人、18.3%)、「自己分析する」(6人、3.6%)の3カテゴリーで構成された。
    【考察】学生は、日頃の学内授業や低学年時の実習を通し、実習に臨むための取り組み姿勢や心得、理学療法に必要な知識や技術を身に付けるための教育を受けている。結果から、学生は、理学療法そのものや患者への関心を持して実習に取り組むこと、患者や指導者としっかりコミュニケーションをとることで信頼関係を築くこと、目の前で起こっている事象に疑問を抱き、問題解決のために自分で考え調べること、そして、分からない時には指導者に質問することが、積極性のある行動と捉えているものと考えられる。また、状況に応じて、指導者からの指示を待つのではなく自分から率先して行動することや自分の意見を伝えること、連絡・報告・相談をすること、自分自身への分析を行うことで、より良い成果を望んでいるものと考えられる。また、指導者から出された課題を遂行する自体は積極性があるとは言い難いが、学生は、実習が円滑に実施できていない状況下では、積極性を維持する行動と考えているのではないかと思われる。 先行研究では、指導者が抱く学生の積極性を規定する因子が情意領域と認知領域にある、としている。今回の学生への調査結果から、学生が抱く積極性を規定する因子は、指導者が抱くそれとほぼ同じものであることが示唆された。
    【理学療法研究としての意義】実習生が抱く臨床実習での積極性のある行動とはどのような行動であるのか、その具体的な行動因子を確認することができた。今回の結果は、実習における学生指導のための参考資料になるものと考える。
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