低周波音による建具のがたつきに関する実験室実験の多くは定常的な純音を用いて行われている。本論文は, 道路高架橋近傍で収録した変動性の低周波音による建具のがたつきに関する実験結果について述べる。結果の検討にあたっては, 道路高架橋から発生する低周波音による結果を定常純音による結果と比較した。また, 大型車の単独走行時を想定し, 低周波音の継続時間による影響を検討する目的で, 騒音制御26巻2号で報告したバースト音の実験結果に新たな実験データを加えて再整理を行った。実験の結果は以下のとおりである。
(1) 道路高架橋から発生する低周波音により建具ががたつき始める音圧レベルは, 定常純音による建具のがたつき始める音圧レベルよりも平均で1.5dB大きかった。
(2) 低周波音の継続時間による影響については, バースト音の継続時間が長くなると, 定常純音との建具のがたつき始める音圧レベル差は小さくなり, バースト音の継続時間が1秒の場合, 定常純音の場合よりもおよそ1dB大きい音圧レベルで建具ががたつき始めることがわかった。
通常, 道路高架橋から発生する低周波音の継続時間は1秒以上であることが多いので, 以上の実験結果を勘案すれば, 道路高架橋から発生する低周波音によるがたつき評価にあたり, 定常純音による建具のがたつき閾値に対しておよそ+1~+2dBの補正値を見積もればよいと考えられる。
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