教師は児章のもつ興味・関心を知ることが必要である。しかも、それを知るのに、幾度も余り長い時間をかけて調査することはできない。教師が、児童の抱く日常、身近な事象についての興味・関心を「不思議に思うこと」の意識として調査をし、その中の特に初発の疑問の意義について検討することによって、短時間に児童のもつ興味・関心を把握出来るものと予想してその実証を試みた。富山市内の田園との境界地区に位置する3つの小学校の児童2,853名からの「不思議に思う」意識について40分間の筆記による調査をした。その初発の疑問を重視した各領域での出現率は全疑問の各領域での出現率との比較の結果、1年生の1部を除けば、ほぼ満足すべき相関を示した。従って著者等は短時間での「不思議に思う」ことの意識調査から、その時点での児童らのもつ興味•関心の大凡を把握できると判断した。また、今回の筆記による調査のデータを堀七蔵の方法によって、4つの領域(自然現象、生物、人間生活並びに物品)に分類し、その結果と堀その他の研究者の結果とを比較すると、堀その他の調査結果に比べて、児童の疑問意識の中で自然現象に関するものが大幅に後退していた。
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