1956年1月より6月まで、被検者7名が日常使用している寝具について、その重量を、就寝の前後に、上皿桿秤を用いて秤量した結果、第1報の結果と全く同傾向であつた。更に今回の実験で得た所見も加えると次の如くである。
i) 就寝中、体表面より蒸発される水分は相当量あることが分つたが、これは殆んど寝具内部に留まらず、肩の開孔、及び厚い寝具の層を通して放散される。
ii) この水分の移動は、肩の水平開孔を通して、多量に外部へ移動される。寝具層を通しての移動は、上方が最も多く、特に胸部、腹、腰部に対応する部位からの移動が著しい。又水分は、下方えも移動している。この上方、下方から、水分が外気中に放散されることを困難ならしめた場合にも、肩の開孔からの換気を調節すれば、体に接して用いる下着、
寝巻
、又内側の布団類は、体温による一定の乾燥度を持続し、快感に影響しない。
iii) 畳と敷布団の間にも水分の出入りがある。
VI) 以上の傾向は、就寝者の性別、年令別に関係なく又、寝具を構成する繊維の種類や型などによる影響も少ない。
なお、以上は大まかな傾向についての中間報告で、詳細については、次回に報告する。
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