3例のブドウ糖非醗酵グラム陰性桿菌による敗血症を報告した. 症例1. 70歳, 男性. T細胞性慢性リンパ性白血病 (T-CLL) の増悪により入院加療中敗血症を併発し, 血液培養で
Flavobacterium meningosepticum (
F. meningosepticum) を分離した. この分離株はcefoxitin (CFX) 及びceftizoxime (CZX) に高感受性であったので, これらの抗生物質を併用投与したが, すでに一般状態の悪化が著しく, 化学療法の効果が得られぬままに死亡した. 症例2.36歳, 男性. 感冒様症状及び大腿部の紅斑様皮疹で発症し, 弛張熱が持続した. 血液培養で
Pseudomonas cepacia (
Ps. cepacia) を分離この分離株がCFXとminocycline (MINO) に高感受性であったので, これらを投与したところ上記の症状は軽快した. この症例では, 敗血症をおこす誘因となる基礎疾患は認められず, いわゆるcompromisedhostではなかった.症例3.72歳, 男性. 膿胸で入院, 治癒が遷延していたが入院3ヵ月目突然の発熱を認め, 血液培養の結果
Alcaligenes faecalis (
A. faecalis) を分離した. この分離株はpiperacillin (PIPC) とcefsulodin (CFS) に高感受性であったので, これらを投与し臨床症状の改善と解熱を認めた.
Compromised hostでのブドウ糖非醗酵グラム陰性桿菌 (以下非醗酵GNRと略す) による感染症は増加の傾向にあるが, 症例2のように全く健康な, いわゆるcompromisedhostでない場合にも, 本菌の感染が起こりうることは注目すべきことである. また現在のところ, ここに報告した様な
A. fecalisによる敗血症の報告はきわめて稀である.
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