アルミナにパラジウムを担持させた触媒を用いて,
n-ヘキサン溶媒中でα-メチルスチレンの液相水素化反応を, 気-液接触かきまぜ槽で行なった。
総括反応速度が全物質移動抵抗を含む場合について, 触媒担持量 (
f) を変化させることのみにより, 触媒有効係数 (η), 触媒有効拡散係数および真の反応速度定数を実験的に求め, 次の関係式を得た。
η≒0.015
f-0.5 (I)
すなわち, 反応速度が液相反応物濃度に関して0次, 水素濃度につき1次の場合, η は
fによって一律に決まることが明らかになった。
この関係から, 気-液側液相物質移動抵抗に対する単位触媒重量あたりの粒子内反応抵抗の比 (α) を求めた。
その結果, α に関与する操作変数, かきまぜ回転数 (
N), 通気速度 (
Vs) および
fについて, 特に小さな α を得るための基準となる操作条件を添字cをつけて表わすと, これらの間には,
Nc=16.6
fc
-0.42Vsc
0.50 (II)
の関係が成立した。α を小さくする操作変数は, ここで求まる
Nc を境として,
N<
Ncの場合, 主として
fであり,
N>
Nc の場合では
Vs であることが明らかになった。
したがって, 有効な総括反応速度は,この関係式 (II) を用いて求めることがでぎると結論した。
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