インドメタシン (IND) の経直腸的投与と経口投与の効果を非担癌状態の脾臓, 腹腔浸出細胞 (PEC), 腸間膜リンパ節 (MLN) のNK活性およびAOM誘発大腸腫瘍の発現で比較検討した.非担癌5週齢雄ドンリュウラットを1回投与量としてIND3mg/kg/ratになるように調整し, 経口投与群, 経直腸投与群, 対照群の3群に分け, 1日目, 4日目の計2回投与した.7日目に脾臓, PEC, MLNを取り出し, YAC-1細胞を標的細胞としE/T=50でNK活性を測定した.脾臓のNK活性においては, それぞれ22.7%, 36.2%, 14.1%と経直腸投与群が他の2群と比較して, 1.6-2.6倍の増強を認めた.一方, PECにおいても各々35.4%, 60.2%, 16.0%, MLNにおいても各々6.2%, 10.4%, 5.6%と経直腸投与群が他の2群と比較して1.6-3.8倍の増強を認めた.AOM誘発大腸腫瘍に対する抑制効果について週2回, 30週連続投与で上記の3群間で比較検討すると, 1匹あたりの腫瘍個数では各々平均3.0, 1.4, 5.2 (個) と経直腸投与群が他の2群と比較して有意な低値1を示した (P<0.01).以上よりINDの経直腸投与は経口投与と比較して全身の非特異的免疫能を良好に賦活し, AOM誘発大腸腫瘍の発現抑制に有用であることが示唆された.
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