伊是名島は疫学的に見て, 昭和50年らいの有病率7.62‰, 罹患率1.3‰と沖縄県の有病率1.34‰, 罹患率0.059‰に比べるとらいの濃厚な地域といえ, 沖縄本島北部地域の中でも昔から3大濃厚地の一つであつた. 今回現在のらいの状況を調べるため, 昭和50年9月伊是名島の住民検診と学童検診を実施したので報告する. 住民2286名について5部落の住民分布状況に応じて, 各部落約30%に相当する720名を無作為に選んで検診した. その結果2名の結核様斑紋らい, 成人男子を発見した. 発見率は2.8‰で, これは従来我々の住民検診の成績に比べるとかなり高い. 幸い学童773名(検診率98.5%)の検診の結果は0であつた. 伊是名島について昭和11年からの疫学的分析を行つた結果, 今回の調査の結果と合わせ考えると, 伊是名島のらいはまだ鎮静期に入つていないと考えられ, 今後引続いて検診を行つてゆく必要がある.
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