不登校状態を呈した自閉スペクトラム症の生徒に対して,どのような工夫が居場所での継続的支援として効果的だったのかを検討した。中学生1名を対象に,中学校内で3年間に渡り継続的に実施された教員と保護者と専門家による「支援会議」の実践例を事後的に経過分析する研究手法が用いられた。
本実践の結果,不登校状況を呈した生徒が,学校との関わりを3年間途絶えさせず,社会的居場所との関わりを継続させ他者とのコミュニケーション範囲を拡大しながら過ごすことが十分可能であることが示された。学校内の部活動を安心できる居場所として機能させる支援や「休息権が保障される場所」の意義を参加者が理解していた学校外の居場所の存在がコミュニケーション範囲の拡大に影響を及ぼしたことが示唆された。支援結果と保護者や当該生徒の意思を確認し推定する情報共有の場として「支援会議」が機能していたと意味づけられた。
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