大隅石族鉱物は宝石の杉石を含む鉱物で、組成はKNaCa長石鉱物にFeとMgを含むのが特徴である(Web mineral, 2012) が、科学論文でもよく間違って長石と記載されている。その大隅石族鉱物にまだ未記載の鉱物があるので、この紙面で紹介する。
1)地球に多く存在する大隅石族鉱物 (Miyashiro, 1956) はK-Fe (sugilite, almarudite, klochite, merrihueite)とK-Mg (trattnerite, chayesite, friedrichbeckeite) に富む2相で、いずれもKが多いのが特徴で、微粒子ではよくK長石組成と誤解されやすい鉱物である。
2)また、その他の大隅石族鉱物でNa-Mgに富む相 (roedderite, yagiite, eifelite)が報告されているが、Na-Feに富む相は地球ではまだ未記載である(Miura, 2011)。これも微粒子でNa斜長石と混同して記載した論文報告をよくみかける。
3) 残りの大隅石族鉱物でCa-MgとCa-Feに富む相は地球ではまだ未記載である(Miura, 2011)。これも微粒子でCa斜長石と混同して記載した論文報告がある。
今後の研究の進展が期待される。
引用文献
A. Miyashiro, Am. Mineral 41, 104 (1956).
Web Mineral (2012): Osumilite-group minerals.
Miura (2011): (in press)
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