病理大切片標本は, 個々の細胞の微細構造を観察することはできないが, 細胞集団により構成された各組織はその染色性, 形態などにより容易に確認できるので, 手術摘出材料の全体像を観察するのに適している.
それゆえ, 大切片標本にて, 腫瘍の進展方向や浸潤様式を, 小切片標本にて, 腫瘍の組織型, 分化度, 脈管侵襲度やリンパ管侵襲度, 腫瘍細胞の核の異型性や分裂像, 間質反応の程度などの微細構造につき総合的に検討を行うことにより, 適切な治療方針を確立することが可能となる.
手術摘出材料の硬組織大切片標本を作製することにより, 腫瘍の骨髄内への進展方向や浸潤様式, 髄内播腫を病理組織学的に, 術後に客観的に評価できる.
腫瘍が骨髄に浸潤した場合の適正な骨切り範囲を確立することが可能であり, 治療成績の向上につながると考えられる
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