1. 車蝦(活きたる雌)の肉から水溶性-,食鹽水可溶性-,苛性曹達液可溶性-,及び苛性曹達液不溶性-蛋白を分離し前2者を夫々ミオゲン及びミオシンと呼ぶことは舊稱の通りであるが後2者には夫々ミオテリン(Myotelin)の及びミオゼイン(Myosein)と呼ぶ名稱を新しく與へた.
2. 蝦肉のミオゲン及びミオシンをば硫安溶液内に於ける沈澱性の差異によつて夫々3部分に分別したが此等の分別蛋白がミオゲン及びミオシンの基成分蛋白であるとは云へない.
3. けれども蝦肉のミオゲン,ミオシン及びミオテリンは夫々不均一性であつて其の基成分蛋白が各種の條件に應じて量的にも亦質的にも變異することが蝦肉蛋白の彷徨異の原因となるのである.
4. 分別蛋白の吸牧スペクトルを測定した結果によればミオゲンにありては硫安濃度の高低による沈澱性と光線吸收力とは正比例する.このことは血清蛋白の場合と同様であるがミオシンにありては正反對である.
5. ミ才ゲン,ミオシン及びミオテリンの光線吸收力とトリプトフアン及びチロシンの含量を比較すれば次の如き關係となる.
ミオゲン>ミオテリン>ミオシン
6. ミオゲンI,ミオシンI及びミオテリンの窒素の形態を測定した結果によれば(第3表)ヒユーミン態とアルギニン態との窒素量は
ミオゲン>ミオシン>ミオテリン
であるがヒスチヂン態,リジン態及びシスチン態の窒素量は
ミオゲン<ミオシン<ミオテリン
である.
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