症例は61歳の男性で, 上腹部痛, 発熱を主訴に近医を受診し, 肝左葉に腫瘤を指摘され紹介となった. 当院のダイナミックCTで肝外側区と一部内側区におよぶlow density tumor を認め, その辺縁部は徐々に不均一に造影された. 腫瘍マーカーは正常範囲であった. 胆管細胞癌を第1に疑い, 平成15年4月7日にリンパ節郭清を伴う肝左葉切除術を行った. 病理組織像では腫瘍のほとんどが肉腫様構造を呈し, ごく一部に腺管様構造を認めた. また, その境界には移行部を認めた. 肉腫様変化を伴う胆管細胞癌と診断した. 術後経過は良好であったが, 外来通院中に残存肝へ転移が出現した. 化学療法, 放射線療法にて一定の効果を得たが徐々に状態が悪化, 平成16年1月15日に永眠された. 肉腫様変化を伴う胆管細胞癌の報告は極めて少なく, 本邦では我々が検索しえたかぎり13例を認めるのみであった. その臨床的特徴をまとめたので報告する.
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