乗用トラクタの事故は農業機械作業に係る死亡事故のうち最も多く,それらを低減することは農作業安全の観点から重要である。本研究では,新たに入手した乗用トラクタの事故調査結果から,発生確率を算出し,被害の程度に重みを付けて数値化することで,各事故要因の危険度および各事故事例のリスクを算出した。その結果,乗用トラクタ事故における,死亡,重傷のリスクは最大で57 %,61 %低減可能であると見込まれた。さらに,「安全性や操作性の低い機械」,「場所の傾斜,段差,凹凸」,「場所の狭さ(縁,物への距離)」の3要因を対策することで死亡・重傷のリスクの閾値を下回る見込みを得た。
コンクリートポンプによる圧送では,事故の発生や圧送負荷の算定方法の統一化など課題が指摘されている。コンクリート圧送技術調査委員会では圧送技術に関する最新動向について情報収集を行い,安全性の検討として圧送に関わる事故の分析と輸送管の管理方法の実態,圧送計画の検討として圧送計画における課題と圧送性について,さらに学協会のコンクリート指針類などの相違についてそれぞれ調査を実施した。本稿では,2年間の委員会活動の成果として2019年6月にまとめられた「コンクリート圧送技術調査委員会報告書」に基づいてその内容を解説する。
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