1) 葉肉内注射接種法によって,カンキツかいよう病菌の各種雑草,イネワラ,土壌およびナツダイダイ根部における腐生的生存期間と生存密度を調べた。
2) 春汚染した雑草,イネワラでは約40∼90日間,土壌では約60日間の生存が認められたが,秋汚染したシバ,ベチベル,イネワラなどでは約200∼300日,土壌では約150日,ナツダイダイ根部では約300日の長期間生存が認められた。
3) 10
8/gレベルで人工汚染した各種材料上における本菌の生存密度の推移をみると,湿潤土壌では初期から急激な減少を示したが,乾燥土壌では低密度ながら8ヵ月間の生存が確認された。シバでは最初急減するがその後ゆるやかな減少に移行し,10
2∼10
3/gレベルで数ヵ月間の生存が確められた。イネワラでもほぼシバと同じ傾向を示した。一方,ナツダイダイ根部では初期の減少はみられず,数ヵ月間10
6/gの高密度を維持した。
4) かいよう病菌生存密度の消長は,各ファージ型間であまり大きな差はみられなかったが,一般にC型はAおよびB型よりも秋∼冬期の腐生的生存能力が高い傾向を示した。
5) 以上のように
X. citriには寄主依存性生存形態を主とする寄生的エコタイプ(ファージ型AおよびB)と腐生的生存形態を主とする腐生的エコタイプ(ファージ型C)に区別して考えることが可能である。
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