人絹用電氣スピンドルは,其の構造上よりして,之をCantileverとして其の振動を論じ得可しとの見地から出發してゐる。Ball bearingの破損其の他の損傷の大部分は,スピンドルの起動途上に必然に遭遇する所の限界速度に於て惹起されることを論じ,從つて限界速度時のスピンドルの固有振動數を求むる方法を述べる。一般論としては,スピンドルは無限次振動系なれ共,一次振動系に轉換し得る事を述べ,固有振動數を求むる爲には,
微分形式
と積分形式とに依る方法を試みる。
微分形式
ではJ. Prescott
(1)の試みた方法に更に新に境界條件を與へてスピンドルの實際と一致せしめて其の解法を試みてゐる。積分形式中の第一は積分方程式を用ひてE. Hahn
(2)の試みた原理を基礎にして,自由端に荷重あるCantileverの固有振動數の決定方法を誘導し,其の計算結果は實驗に依つて之を證してゐる。積分形式の第二はLord Rayleigh
(3)のエネルギー方法に,新に工夫せる等價荷重を應用して,實際的に固有振動數を決定する方法を述べ實驗結果に符合することを證してゐる。
(4)微分形式
に於ては第二次限界速度を決定せる結果としてスピンドルの具有す可き第一次限界速度の極限を選定する根據を與へてゐる。
(5)實驗に於ては,振動振幅と回轉數とを同時にオッシログラム上に記録せざれば,充分なる研究の遂げ難きを痛感したので,其の考案を成し永き試みの後に成功するを得たので,
(6)專ら之を唯一の實驗方法として研究を行ふたものである。
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