徳島市
域23行政区画における事象別公害苦情件数,都市形態データ,都市基盤施設データ,住民意識データを解析することにより,次のような知見を得た。
1.都市形態データにより解析された地域特性と地域別・事象別公害苦情の間には,次のような有意な相関が認められた。
都市商業性が高い地域と振動,騒音苦情は正の回帰を,また水質汚濁苦情とは負の回帰を示す有意な相関が得られた。一方,住商工混在地域と粉塵,煤煙,悪臭苦情の間には正の回帰を示す相関が認められた。
2.都市基盤施設データと公害苦情件数の間に,次の有意な相関が認められた。
都市基盤施設の整備状況と振動,騒音苦情との間に,正の回帰を示す有意な相関が,また水質汚濁との間に,負の回帰を示す有意な相関が認められた。一方,日常生活の利便性の成分と粉塵,悪臭苦情は負の回帰を示していた。
3.住民意識調査中にみる各地区住民の潜在的意識特性と公害苦情件数との間に,相関のある説明変数が選択された。
以上のように,公害苦情件数と各種地域特性や行政施策また住民意識との間には統計上有意な相関があり,社会衛生学的に公害苦情件数が地域環境衛生状態の有用な指標になることが認められた。
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