抄録
本研究では,専門家が一般的なアウトリーチ活動を通じて地域住民と連携・協働へと発展した事例を取り上げ,1)どのようにして連携関係が構築され,発展したか,2)このプロセスで専門家が果たした役割について整理した.ここでは人と人との連携が重要であるとの視座から,専門家の技術的側面ではなく社会的側面である人的ネットワーク構造に着目した.その結果,地域環境課題の解決を目標とする専門家が地域住民と協働関係を創始・発展・継続するためには,地域住民のやりたいことや困っていることを尊重し,隔たりのない意見交換をする場を獲得し,課題の相互扶助を行うことが必要であった.また,専門家コミュニティー内の誰か1人でも,専門家内のファシリテータ役,主体間のコーディネート役を担うことが重要であった.