遊走脾は成人女性に多く,小児では極めて稀である.われわれは血管茎捻転を伴った遊走脾は成人女性に多く,小児では極めて稀である.われわれは血管茎捻転を伴ったとし,触診にて臍下部に腫瘤を触知,検査所見では軽度の脾機能亢進を認めた.エコー,注腸造影,
99mTcフチン酸による肝脾シンチグラム,血管造影より遊走脾と診断,脾摘を施行した.脾は358gで時計方向に360°捻転していたが,出血,梗塞,壊死は認めなかった.脾腎靱帯等の脾固定の靱帯は欠如していた.遊走脾は成因に先天性の要素を有し,特に小児では成人に比し脾固定靱帯の欠如率が高く捻転をおこす頻度が高いため,外科的治療が勧められる.手術は脾固定を試みた報告もなされているが,脾摘を行う場合が多く,われわれも解剖学的特性,脾機能亢進の存在を考慮し脾摘を施行した.
抄録全体を表示