日本消化器内視鏡学会雑誌
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術後糖尿病の自然軽快をみた胃カルチノイドの1例
平松 通徳杉本 博三宅 健夫内野 治人
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1989 年 31 巻 5 号 p. 1276-1280_1

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抄録
 症例は,46歳の女性.糖尿病と急性腎盂腎炎で入院治療中,スクリーニング検査としての胃透視で偶然見出され,胃内視鏡下の生検により術前に確定診断された胃カルチノイドの1例である. 術前の検索で尿中5-HIAA,血中セロトニン,ヒスタミン等はすべて正常であり,カルチノイド症候群は認められなかった.近位胃切除による治癒切除の直後より,糖尿病が自然軽快し,5年経過後の現在も腫瘍および糖尿病の再発が認められず,カルチノイドが糖代謝異常に深く関与していたと考えられるきわめて興味深い症例である.消化管カルチノイドの切除後に糖代謝異常が改善した例は,過去に直腸で1例報告があるのみで,胃では本症例が最初であり,きわめて貴重な症例であると思われた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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