1) 浅海養殖漁場における新生堆積物の物質回路に関する基礎知見を得る目的で, 1989年6~9月, その堆積物の量的・質的特性を魚類養殖場 (St.1) , 真珠養殖場 (St.2) , 及び養殖場外 (St.3) について漁場別に調べた。
2) St.1, St.2及びSt.3における新生堆積物量はそれぞれ70.4, 42.5及び34.7g-dry・m
-2・day
-1であった。同様に新生堆積物の有機堆積物量は, St.1, St.2及びSt.3でそれぞれ, 19.3, 10.1及び5.5g-dry・m
-2・day
-1であった。
3) St.1, St.2及びSt.3における新生堆積物の栄養塩溶出量は次の通りであった。すなわち, INはそれぞれ579.2, 493.6及び175.4μg-at・l
-1であり, IPはそれぞれ94.8, 17.1及び14.4, μg-at・l
-1であった。また, IN/IP比はそれぞれ6.1, 28.9及び12.2であった。
4) 新生堆積物の栄養塩溶出液を培地として
Nannochloropsis sp.を培養し, 細胞密度及び色素量によってその基礎生産能を調べた結果, St.1で最も高い生産能が得られ, St.2及びSt.3の順でその生産能は低下した。
5) 前項の培養実験から
Nannochloropsisの増殖に及ぼす好適IN及びIP濃度はそれぞれ約200μg-at・l
-1, 及び約50μg-at・l
-1と推定され, その比はほぼ4であった。St.1において好適IN/IP比に近い値が得られた。
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