HanとVerdúによって提案された情報スペクトル的手法では,
情報源
符号化や通信路符号化などの情報理論の幾つかの主要な問題において,符号化の性能の限界が2つの確率的極限を用いて表される.本稿では,従来の2つの確率的極限に加えて,別の確率的極限を2つ導入する.そして固定長
情報源
符号化の問題において,これら4つの確率的極限を用いて定義される
情報源
の4つの特徴量の有用性について解説する.本稿ではまず,極めて一般的な
情報源
(一般
情報源
)に対する4つの特徴量の大小を比較し,自然な大小関係を持つための必要十分条件が
情報源
の正準性であることを示す.次に,4つの特徴量の一般
情報源
の固定長符号化における操作的な意味を述べる.更に1つの応用として,一般
情報源
に対する新たな強逆性が幾つか定義できること,それぞれの強逆性の必要十分条件が4つの特徴量を用いて記述できることを示す.最後に,相関のある2つの
情報源
の独立符号化における楽観的な達成可能レート領域を求める問題に対して,本手法を適用した結果を紹介する.以上のように,情報スペクトル的手法において,確率的極限を2種類から4種類に増やすことは,符号化の性能を新たに特徴付けして詳細に解析する上で有用である.
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