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クエリ検索: "愛知医療学院短期大学"
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  • 佐伯 由香
    日本薬理学雑誌
    2018年 151 巻 5 号 195-199
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/11
    ジャーナル フリー

    看護教育において,薬理学や解剖生理学といった基礎医学系の科目は専門基礎科目と位置づけられている.筆者は看護系大学において長年,解剖生理学を担当し,現在では薬理学の一部をも担当している.同じ専門基礎科目として,看護学生に教育する上で,課題となる点はほぼ共通であると考えられる.これまで解剖生理学を教育してきた中で,問題と思われるのは,学生の基礎学力の低下,正確に覚えない,思考が固定化している,の3点である.指示された注射液を何mL注射器に吸えばいいのか,酸素ボンベにどのくらいのO2が残っているのかといった,簡単な計算問題を苦手とする学生が増えている.また,器官や組織がそれぞれ何処に存在して,どのような働きをしているのか正確に覚えない.つまり,「何となく」あるいは「このくらい」という程度に覚えているのである.また,1つのこと(あるいは事象)を1つの側面からしか覚えない.したがって,他の側面から質問をすると答えられなかったり,せっかく学んだ知識を他の知識とつなげたり,関連させて考えることができない.このような問題は,同じ基礎医学の科目である薬理学を教える教員も感じているのではないだろうか.ヒトの体は1つである.whole bodyとして常に考えること,そして解剖生理学や薬理学の知識を看護実践でどのように活用するのか,早いうちに理解させることが重要なのではないかと考える.

  • *前田 勝彦, 万歳 登茂子, 後藤 浩, 上田 孝, 渡辺 覚, 深谷 道広
    東海北陸理学療法学術大会誌
    2012年 28 巻 O-46
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/10
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】 昭和20-40年代に脳性麻痺により機能障害を受けた人たちは、新たな機能障害(二次障害)が生じている。しかし、対応する医療は進んでいない。適切な治療時期を逃し、症状が重くなってからの対応となる場合が多い。本来の力を発揮・維持し生活していくため、痛みや痺れ・動作能力低下など二次障害を「あきらめる」ことなく、障害当事者と医療者が状況を把握し、共同して対応をすることが必要である。しかし、十分な現状把握はされていない。
     そのために、1. 脳性麻痺二次障害の実態を調査し、背景と課題を探る。2. 障害者及び医療者が適切な対応ができるように指標作りとその普及に努める。3. 行政、医療機関に提言としてまとめる。以上を目的としてアンケート調査を行った。
    【方法】 大阪肢体障害者二次障害検討会アンケート内容(2000年実施)を改編し、2011年11月より2012年1月末までに文書による回答とWEBアンケートとした。愛知県を中心に医療機関、福祉団体、障害者団体、個人への協力をお願いした。なお、本調査は
    愛知医療学院短期大学
    倫理委員会の承認を受けて実施した。
    【結果】 430名の回答があり、今回は20歳以上412名の結果を分析した。男性223名、女性189名、愛知県354名、岐阜県36名、三重県18名、その他。保持する手帳は身体障害者手帳401名、愛護・療育手帳208名、精神障害者保健福祉手帳3名。外出の際の移動方法は、手動車椅子にて介助移動202名、電動車椅子使用89名、自力歩行59名、手動車椅子自走22名、杖歩行8名、その他18名。日中の居場所は社会福祉施設336名、在宅91名、勤務先20名、その他であった。
     二次障害を自覚している人は57.5%、二次障害に関心のある人は74%。その内容は手足首のしびれ・痛み、動作のしづらさ、肩こり、腰痛、耳鳴り、食べにくさで40代と50代で多かった。日常生活動作低下は、二次障害ありでは85%、なしでは51%に認められた。現在または過去に就労経験がある人で二次障害ありの人は65%、就労経験のない人で二次障害ありの人は33%。信頼できる医療機関の有無では地域差はなく、あるが64%なしが30%。受けた治療内容は内服薬62%、リハビリ53%、手術22%、針灸マッサージ17%、ボトックス注射7%であった。67%の人が今後二次障害などの相談会に参加したい、または興味があると答え、自分の住む近くで、福祉制度なども同時に相談したいなどが多かった。
    【考察】 就労者に二次障害が多く、日常生活、労働環境への取り組みも必要と思われた。医療機関への受診では、信頼できない人が30%もいる現実があった。十分な障害者対応が出来ていない事もあると推察される。治療内容では服薬、リハビリ、手術などが多く、リハビリテーションに多くの期待が寄せられている。相談会への希望もまた多かった。
    【まとめ】 今後は1. 医療・福祉・障害当事者などの連携を図り、生活、労働環境を見直していく必要がある。2. 二次障害の予防、治療の指針をまとめ、広く周知していくと共にどの医療機関でも適切な対応がされるよう提言していく必要がある。3. 大阪でのアンケート結果と比較検討し、行政、医療機関での十分な相談体制を提言していく必要がある。
  • 門田 正久, 鳥居 昭久, 池畠 寿, 半田 秀一, 花岡 正敬
    理学療法学Supplement
    2010年 2009 巻 O2-132
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】今回、アジアパラユースゲーム東京大会にて、本部トレーナー活動を実施することがきましたので、障害者スポーツ大会のサポート活動を広く周知していただき、より多くの理学療法士の方々に障害者スポーツをサポートしていただくための情報発信として報告をさせていただきます。
    【方法】2009年9月8日から13日(大会期間9月10日から13日)の期間中、アジア地区ユースパラゲーム東京大会に参加された選手および役員へ本部トレーナーサービスを実施。実施内容について種目別・部位別などの対応実績を調査。また、利用者からの聞き取りによる障害者スポーツにおけるユース世代における課題について考察をする。
    【説明と同意】
    【結果】今大会競技種目は、水泳、陸上、卓球、ゴールボール、ボッチャ、そひて車いすテニスの6競技で開催、選手役員700名の参加があった。その中でトレーナーサービス利用総件数167件。競技別利用状況としては、水泳12名ゴールボール10名、陸上5名、テニス5名、卓球4名、ボッチャ2名であった。部位別状況としては、肩関節が最も多く32件、次いで腰部12件、頚部11件となっており前腕・手等を入れると上半身中心の部位が多く認められた。また実際のトレーナーサービスの中で、障害問題の解決だけでなく、トレーニング方法やコンディショニングについての説明指導を実施することも多くあった。
    【考察】今回、国際大会でのユース選手へのトレーナーサービス活動を実施した。利用者はほとんどが日本選手であったが、サービスを実施する中で、基礎疾患となる運動機能障害と競技による機能障害の混在がほとんどであり、日常管理の中で競技練習内におけるコンディショニングの必要を強く感じられた。部位別で見ると上半身の問題が多く、切断や術後の脊柱アライメントの問題やバランス対応としての頚部の障害も多く認められた。また利用者全員への聞き取りはできなかったが、多くの選手の場合はどこでコンディショニングを指導してもらえるかわからない、もしくは通常のトレーニングジム等の施設や施術院では対応してもらえない現状も知ることができた。これは、健常者の運動器疾患対応についてはトレーニングジムや施術所での対応は一般的であるが、障害のあるスポーツ選手を受け入れる土壌がまだ未整備であり、今後の日本における障害者スポーツサポートシステムの構築の必要性を感じるものとなった。またその中で、理学療法の活用がさらに大きな意味があるものと再認識することができた。今後は、大会のみならず強化練習サポート体制作りや地域活動へのサポート体制の構築を進めていき、より質の高いサービスを提供できるように努力していきたいと考える。
    【理学療法学研究としての意義】障害者のスポーツは、近年競技志向の高まりにつれて参加選手のサポート体制も変革期を迎えています。障害者スポーツの代表的な大会ともいえるパラリンピック大会においても2001年にIOC(国際オリンピック委員会)とIPC(国際パラリンピック委員会)との協力関係が話し合われ、2008年北京パラリンピックからIOCの支援体制が始まっています。日本においても2000年シドニー大会より本部トレーナー帯同が始まり、その後2004年アテネ大会1名。2008年北京大会には1名増員、2名体制で本部対応することができ始めています。また各競技団体においても、専任トレーナーをつける競技団体も増えてきています。その中でも理学療法士の資格を持っての参加トレーナーが多くなっており、今後もより競技サポートのニーズが増えてくると思われます。
  • 尾関 伸哉, 鳥居 昭久
    理学療法学Supplement
    2014年 2013 巻 0538
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに,目的】動的バランスの評価の際の指標として多く用いられているFunctional Reach Test(FRT)は,必ずしも歩行能力や転倒予測の指標としては相関しておらず,むしろ側方へのリーチ距離が転倒予測やADL能力に関連しているとの報告がある。一般に高齢者や片麻痺などの障害者の転倒リスクとして側方や後方への転倒が危惧されることからも,側方リーチテスト(以下LRT)が動的バランスの評価としては有効であることが示唆される。しかし,LRTは測定時に肩関節を外転90°位にて行うため,片麻痺などの障害を有する症例の評価には不向きな部分がある。そこで今回,肩関節外転困難な症例を想定し,肩峰を測定指標としたLRTについて検討した。【方法】今回,健常な男子学生15名(年齢21.3±1.6歳,身長171.5±5.5cm)を対象とした。計測肢位は,対象者の足幅を肩幅(両肩峰間距離)にした立位とし,側方への最大リーチ距離を計測した。リーチ距離の測定指標は,通常のLRT同様に肩関節90°外転位にて実施した指尖(以下,指尖リーチ),上肢下垂位での肩峰(以下,肩峰リーチ)として,それぞれの指標の最大到達距離を計測した。測定には,三次元動作解析装置(ローカス3D MS-2000アニマ社)を使用し,2回動作練習を行ったあとに,3回の測定を実施,最大値を採用した。さらに,フォースプレート(MG-100アニマ社)にてリーチ動作中の側方への足圧中心移動距離(以下COP移動距離)を測定した。統計解析として肩峰と指尖でのリーチ距離とCOP移動距離との関連についてPearson相関係数を用いて検討した。全ての統計解析には改変Rコマンダーを用いて行い,本研究の統計学的有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮,説明と同意】本研究に先立ち,被検者には研究内容を説明し,その主旨の理解と同意を得られた上で実施した。また,
    愛知医療学院短期大学
    倫理委員会の承認を得て実施された。【結果】肩峰リーチ距離は右側19.2±2.7cm,左側16.9±1.9cm,指尖リーチ距離は右側20.3±3.3cm,左側19.7±1.9cmであった。肩峰COP移動距離は右側16.2±1.5cm,左側15.7±2.1cm,指尖COP移動距離は右側15.6±1.9cm,左側15.7±1.8cmという結果であった。肩峰リーチと指尖リーチのリーチ距離の相関では右側r=0.70,左側r=0.60であり左右とも相関がみられた。また,COP移動距離の結果においても右側r=0.52,左側r=0.78と左右のCOP移動距離ともに相関がみられた。また,リーチ距離,COP移動距離ともに左右差はみられなかった。【考察】今回の結果では,肩峰と指尖でのリーチ距離,COP移動距離との間に高い相関を得ることができた。また,Brauerは,側方リーチ距離は左右対称性を示すと報告しているが,肩峰を計測指標とした場合にも左右対称性が担保された結果であった。すなわち,LRTを実施するにあたり,その計測指標として指尖のかわりに,肩峰を計測指標にして,その最大到達距離から側方リーチの評価をすることができることが示唆された。このことは,例えば,片麻痺患者に対してLRTを実施する際に麻痺側のリーチ距離を肩峰のリーチ距離から推定することが可能であり,麻痺側方向への動的バランスを評価することができることを示唆している。今後の課題として,実際の片麻痺症例などの肩関節外転困難な症例に対して,この測定方法を実施し,障害の程度と側方リーチ距離の関係を,指尖,肩峰それぞれの計測指標を用いて検証し,より臨床的な有用性について明らかにしていく必要がある。【理学療法学研究としての意義】臨床においての様々な検査測定手技は,何らかの障害を想定して実施されなければならない。本研究は,動的バランスや転倒予測としての評価手段の一つとして有用とされているLRTを,上肢機能が障害されている場合を想定して実施する方法を検討し,その可能性を明らかにした。これにより,臨床において上肢障害を有する症例に対しての立位の動的バランスの評価や,転倒予測の一手段として応用できると考えられる。
  • 古田 国大, 宮地 庸祐, 鈴木 惇也, 宮津 真寿美
    理学療法学Supplement
    2013年 2012 巻 A-P-46
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/20
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    【はじめに、目的】我々は日々生活する上で、多様に変化する外部環境に適応する必要がある。その状況では、知覚と運動、また知覚や運動から生じる情動を含めた「知覚—運動—情動」の3 要素が複雑かつ相互に作用している。例えば治療場面では、立位練習時に、対象者に安心感を与える為に壁や支持器具など外部環境設定の工夫をする。これは、外部環境を知覚する際、物理的な支持としての機能のみでなく、環境の操作により生じる情動の変化も姿勢制御に影響していると考える。これまで我々は、側方に壁がある環境では、それがない環境と比較して足圧の中心変位が前方へ移動すること、すなわち知覚と姿勢制御の関係性について報告している。しかし、壁に対する圧迫感などの情動が、姿勢制御に影響するかについては言及していない。そこで本研究の目的は、側方の壁から受ける主観的圧迫感が足圧の中心変位や重心動揺軌跡長などに及ぼす影響を明らかにすることとした。【方法】対象は健常高齢者20 名とし、明らかな認知症症状や変形性関節症を認めるものは除外した。基本情報は、平均年齢74.0 ± 8.3 歳、平均身長151.8 ± 7.8cm、平均体重50.0 ± 7.3kg、全員独歩自立であった。測定は重心動揺計(アニマ社製グラビコーダGS-31)を用いた。測定条件は、被験者の右側に壁がある条件(以下右壁)、左側に壁がある条件(以下左壁)、側方に壁がない条件(以下壁なし)の3 条件を無作為に行い、それを6 回施行し、2 回目から5 回目の測定値の平均値を代表値とした。壁と被験者との距離は、壁側の上肢が壁から約10cm離れる距離に設定した。測定値は総軌跡長、単位軌跡長、実効値面積、X及びY方向の中心変位を使用した。測定肢位は、閉脚立位で開眼30 秒とし、被験者の目線の高さに合わせたマーカーを重心動揺計の後端から4m前方に設置し、注視させた。また、重心動揺計上の立位位置を一定にするために、あらかじめ閉脚立位時の足のアウトラインを台紙にかたどっておき、その台紙の足型に合わせて重心動揺計に乗るよう指示した。測定後に、アンケート用紙を用いて側方の壁の主観的印象を数値化してもらい、その中から壁から受ける圧迫感の有無を抽出した。圧迫感の数値が右壁及び左壁の両方において、壁なしと同じであった者を圧迫感なし群(以下圧迫無群)、壁なしよりもどちらか一方でも高かった者を圧迫感あり群(以下圧迫有群)とした。結果の統計学的解析は、statcel2を用い、圧迫感の有無と壁の3 条件を要因として各測定値について2 要因の反復測定分散分析を行い、Post hoc testとしてTukey法を行った。有意水準は全て5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】本研究は、
    愛知医療学院短期大学
    の倫理委員会の承認を得た上で行い、研究の説明を行い文書による同意の得られた者を対象とした。【結果】総軌跡長、単位軌跡長、実効値面積は、圧迫感の有無と壁の3 条件の2 要因において交互作用及び主効果はなかった。X中心変位は、壁の3 条件で主効果があり、Post hoc testでは壁なしと左壁、右壁と左壁で有意差を認め、側方に壁が存在すると壁側に中心変位が移動する結果となった。また、交互作用はみられなかったが、圧迫無群は圧迫有群と比較して壁の3 条件による差が大きい傾向にあった。Y中心変位は、壁の3 条件で主効果があり、Post hoc testでは壁なしと右壁、右壁と左壁で有意差を認め、側方に壁が存在すると中心変位が前方へ移動する結果となった。Y中心変位の交互作用はみられなかった。【考察】総軌跡長、単位軌跡長、実効値面積は2 要因の影響を受けなかったことから、重心動揺の大きさや揺れ方は壁の有無や圧迫感による変化がないと推察できる。そして、X中心変位の結果より、圧迫無群は壁のある条件で中心変位が壁側へ移動しやすかったが、圧迫有群ではその移動は少なかった。これは、圧迫無群と圧迫有群で、壁という構造体の知覚作用が異なっていたと考えられる。つまり、壁に対する主観が知覚運動相互作用に関係している可能性を示唆する。また、Y中心変位の結果は、両群共に壁のある条件で中心変位が前方へ移動した。これは、前後方向の動きである為に圧迫感の影響を受けず、周辺視野からの奥行き知覚により惹起されたと考えられる。【理学療法学研究としての意義】外部環境設定から得られる情報は、それを知覚する対象者によって情報の質が異なり、その質の差により足圧中心の変化に差がみられることが示唆された。また、臨床現場において、日頃我々は外部環境の持つ意味を意識して介入をしているが、本研究の結果は、それを数値化して具体的に提示できたことに意義がある。
  • 第2報
    勝水 健吾, 河村 守雄
    理学療法学Supplement
    2011年 2010 巻 OF1-011
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/26
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】異所性骨化は,脊髄損傷や脳血管障害の麻痺部に多く出現し,完成された異所性骨を外科的に摘出するしか方法はなく,また,摘出後も再発する例も多い.このように,確実な治療法が確立されていないのが現状である.この異所性骨化は,疼痛や関節可動域の制限を引き起こし,術後の機能障害やADL自立の妨げとなる要因として重要である.この,異所性骨化の発生を如何に抑制し治療していくか,私たちは,超音波療法の効果について,第25回日本理学療法学術大会において,脊髄損傷異所性骨化モデルマウスを用い,超音波を照射することで,その異所性骨化を抑制できる可能性を示唆した.
    本研究では,照射条件を変化させることにより,超音波照射による異所性骨化抑制作用の至適照射量を検索することを目的とした.
    【方法】対象はddYマウス(雄,6週齢)25匹を用いた.マウスをジエチルエーテル吸入による麻酔下におき,背部をイソジン消毒し剃毛した後,脊柱に沿い正中切開し,第8胸椎を露出させた.不全麻痺を作成するため,先端が直径約2mmのプラスチック棒を当て,そこに3または5gの金属錘を3または5cmの高さから落下させ損傷を起こさせた(weight drop法).麻痺の程度は改定MFS(hindlimb motor function score:MFS)を用い確認した.脊髄損傷術後,7日目にBMPを移植した.移植は,マウスをジエチルエーテルで吸入麻酔した後,手術台上で腹臥位に固定し,術野を剃毛,消毒し,皮膚と筋膜を切開した後,ハムストリングス内に移植母床を形成し,crude BMPの粉末3mgをNo.5ゼラチンカプセルに入れたもの(BMPカプセル)を移植した.その後,ナイロン糸で筋膜,皮膚をそれぞれ縫合して手術を終了とした.BMPカプセルは,1匹のマウスにつき両側大腿に移植した.超音波照射は,伊藤超短波社製US-700を用い,移植術翌日から照射した.超音波照射用マウス固定台に,ジエチルエーテルで吸入麻酔したマウスを固定,照射部位を剃毛,治療用ジェルを塗布し超音波導子を設置した.導子は皮膚に密着させ,手術翌日より3週間にわたり固定法,毎日1回,10 分間,照射率20%,周波数3MHz,を一定条件とし,照射強度を0.1W/cm2(n=11,0.1W/cm2群), 0.5W/cm2(n=8,0.5W/cm2群),1W/cm2 (n=6,1W/cm2群),の3条件として照射した.なお1肢を超音波照射(US+),他肢を非照射(US-)とした.移植3週後に,マウスを致死量のジエチルエーテル吸入により安楽死させ,両下肢を股関節にて離断,軟X線像により,新生骨の位置を確認しながら摘出した.この組織の灰分重量を測定することで,形成された異所性骨の重量を比較検討した.統計学的処理として,灰分重量は対応のないT検定を,MFSはMann Whitney U testを用い,危険率5%未満を有意とした.
    【説明と同意】本研究は,名古屋大学医学部動物実験倫理委員会,
    愛知医療学院短期大学
    倫理委員会の承認を得て行った.また,平成20年度科学研究費補助金(若手研究 課題番号20800068)の助成を受け行った.
    【結果】形成された異所性骨の灰分重量は(平均値±標準偏差),0.1W/cm2群US+(3.4±1.4mg),US-(6.3±2.5mg)であり,US+のほうが有意に骨形成量は低値であった(p<0.05).一方,0.5W/cm2群US+(2.9±1.1mg),US-(4.9±1.7mg),1W/cm2群US+(7.7±0.4mg),US-(7.1±1.3mg)であり,両群のUS+とUS-には有意な差はなかった.また全ての群においてBMPカプセル移植時のMFSには有意差はなかった.
    【考察】本実験では,異所性骨形成における超音波の至適照射量を検索することを目的としており,その結果,低強度である0.1W/cm2が最も骨形成を抑制することが可能であることが示唆された.低出力の超音波照射は,組織内温度が上昇しないにも関わらず様々な生体変化を引き起こすことが知られているが,骨形成促進効果もその一つである.骨折などの治癒過程における骨形成は膜性骨化と呼ばれ,異所性骨化とは異なる過程で骨化が起こるため単純な比較はできないが,本研究により,BMPにおける内軟骨性骨化には低出力である超音波照射が抑制的に働き,さらに,骨形成促進を目的とした照射条件とは,照射強度が若干異なり,それにより超音波の骨形成に対する効果にも影響を及ぼしていると考える.
    【理学療法学研究としての意義】本研究は,治療や予防が非常に困難となる異所性骨化に対する新たな見解を示すものである.また,理学療法士が臨床で使用している超音波治療器を用いて,新たな適応を示唆している.さらに,骨形成に対する超音波療法の至適照射量や危険性に対する研究の,一参考となりうる.
  • 勝水 健吾, 河村 守雄
    理学療法学Supplement
    2010年 2009 巻 Se2-061
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】異所性骨化は,脊髄損傷や脳血管障害の麻痺部に多く出現し,完成された異所性骨を外科的に摘出するしか方法はなく,また,摘出後も再発する例も多い.このように,確実な治療法が確立されていないのが現状である.この異所性骨化は,疼痛や関節可動域の制限を引き起こし,術後の機能障害やADL自立の妨げとなる要因として重要である.この,異所性骨化の発生を如何に抑制し治療していくか,その方法として侵襲がなく負担の少ない治療法として超音波療法の効果を検討していきたい.これまでの私たちの研究では,異所的に骨を発生させる骨形成タンパク質(Bone Morphogenetic Protein:BMP)をマウスに移植し異所性骨化モデルマウスを作成し,超音波療法の効果を検討してきた.本研究では,異所性骨化の発生条件により近づけるため,脊髄損傷のモデルマウスにcrude BMPを移植した脊髄損傷異所性骨化モデルマウスを作成し,超音波療法の効果を明らかにしていくことを目的とした.
    【方法】対象は,ddYマウス(雄,6週齢)11匹を用いた.マウスをジエチルエーテル吸入による麻酔下におき,背部をイソジン消毒し剃毛した後,脊柱に沿い正中切開し,第8胸椎を露出させた.不全麻痺を作成するため,先端が直径約2mmのプラスチック棒を当て,そこに3gまたは5gの金属錘を2~5cmの高さから落下させ損傷を起こさせた(weight drop法).麻痺の程度は改定MFS(hindlimb motor function score:MFS)を用い確認した.脊髄損傷術後,7日目にBMPを移植した.移植は,マウスをジエチルエーテルで吸入麻酔した後,手術台上で腹臥位に固定し,術野を剃毛,消毒し,皮膚と筋膜を切開した後,ハムストリングス内に移植母床を形成し,crude BMPの粉末3mgをNo.5ゼラチンカプセルに入れたもの(BMPカプセル)を移植した.その後,ナイロン糸で筋膜,皮膚をそれぞれ縫合して手術を終了とした.BMPカプセルは,1匹のマウスにつき両側大腿に移植した.超音波照射は,伊藤超短波社製US-700を用い,移植術翌日から照射した.超音波照射用マウス固定台に,ジエチルエーテルで吸入麻酔したマウスを固定,照射部位を剃毛,治療用ジェルを塗布し超音波導子を設置した.導子は皮膚に密着させ,手術翌日より3週間にわたり毎日1回,10分間,照射率20%,周波数3MHz,照射強度0.1W/cm2,固定法にて照射した.なお1肢を超音波照射(US+),他肢を非照射(US-)とした.移植3週後に,マウスを致死量のジエチルエーテル吸入により安楽死させ,両下肢を股関節にて離断,軟X線像により,新生骨の位置を確認しながら摘出した.この組織の灰分重量を測定することで,形成された異所性骨の重量を比較検討した.統計学的処理として,灰分重量は対応のないT検定を,MFSはBMPカプセル移植時の値をMann Whitney U testを用い,危険率5%未満を有意とした.
    【説明と同意】本研究は,名古屋大学医学部動物実験倫理委員会,
    愛知医療学院短期大学
    倫理委員会の承認を得て行った.また,平成20年度科学研究費補助金(若手研究 課題番号20800068)の助成を受け行った.
    【結果】形成された異所性骨の灰分重量は(平均値±標準偏差),US+で3.4±1.4mg,US-で6.3±2.5mgであり,US+のほうが有意に骨形成量は低値であった(p<0.01).また,BMPカプセル移植時のMFSには有意差はなかった.
    【考察】本実験では,特に問題になりやすい脊髄損傷による麻痺を発生させ,麻痺肢にBMPを移植することで,より臨床像に近いモデルマウスを作製することが可能となった.さらに超音波を照射することにより,BMPにより発生する新生骨の形成量は抑制される結果となった.BMPによる新生骨の発生は,内軟骨性骨化と呼ばれているが,詳細は未だ明らかではない.しかし,BMPには成熟筋を幼若化させ,さらに骨組織へと再分化させる作用があると考えられている.本実験では,BMP移植直後より超音波を照射しており,どの過程に超音波が作用しているかは明らかではないが,異所性骨化が発生する可能性が高い場合,予防的に利用することによりその形成を抑制できる可能性を示している.また,超音波の照射条件は,低強度であり,その作用は温熱による効果ではないと考えられる.一般的に骨癒合を促進させるために照射される超音波は,本実験で行った照射条件よりさらに低強度であることから,骨形成と超音波の照射強度には何らかの関連性があり,注意深く照射する必要性があると考える.
    【理学療法学研究としての意義】本研究は,治療や予防が非常に困難となる異所性骨化に対する新たな見解を示すものである.また,理学療法士が臨床で使用している超音波治療器を用いて,新たな適応を示唆している.さらに,骨形成に対する超音波療法の至適照射量や危険性に対する研究の,一参考となりうる.
  • ~”清須市民げんき大学”の開設~
    加藤 真弓, 鳥居 昭久, 臼井 晴信, 山下 英美
    理学療法学Supplement
    2019年 46S1 巻 P-5-4
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/20
    会議録・要旨集 フリー

    【はじめに】厚生労働省は、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域包括ケアシステムの構築を推進している。本学の所在地である清須市においても、様々な取組みがなされている。平成29年4月からは介護予防・日常生活支援総合支援事業(新総合事業)がスタートし、平成16年度から地域の介護予防に積極的に関わってきた本学は、一般介護予防事業の一部を新たな形で清須市と協同実施する運びとなった。「清須市民げんき大学」(以下げんき大学)という名称で、介護予防の必要性を理解し健やかで元気に過ごすことへの支援と、介護予防活動の担い手として社会参加できる人材育成を目標とし、約1年を通して介護予防の知識・実践を学ぶ高齢者向けの講座である。今回は、このげんき大学の取組みを報告する。

    【方法】げんき大学の受講対象は概ね65歳以上の高齢者である。プログラムは入学式と卒業式を含めた全16回、実施期間は平成29年6月~平成30年3月の10か月間とした。頻度は1~2回/月であり、講義は60分間1コマとして2コマ分を午前に実施した。1コマ目は座学で、行政や社会福祉協議会職員による地域包括ケアや地域づくり、ボランティア活動について、理学療法士・作業療法士による老年症候群、ロコモ、認知症、うつなどの予防、医師により生活習慣病や口腔・嚥下機能の低下予防等をテーマに実施した。2コマ目は実技として運動(ストレッチ・筋トレ等)、コグニサイズ、リズム体操、レクリエーション等を企画や運動指導体験の演習を交えて実施した。また、身体機能および認知機能測定を実施した。直接的な運営は教員で行い、授業の一環として学生も参加した。

    【結果】20名定員のところ、申込者数は51名と予想以上の人数が申し込み、社会的ニーズの高さが示された。行政による抽選により30名(男性7名、女性23名、平均年齢71.0歳(62歳~80歳))が入学した。入学の動機は今後の地域貢献、自身や周囲の介護予防、自己啓発・生涯学習であった。入学時点で何らかのボランティアや地域活動を行っている者が26名であり、今後は現在の活動の充実や新たな活動をしたいと考えていた。活動を行っていない者は、今後検討するとの考えであった。平均出席者数は28.4名であり、13名が皆勤であった。3分の2以上の出席を満たした者は30名で、全員が卒業した。尚、受講前後の変化等の詳細については当日報告する。

    【結論】一人の脱落者もなく終了したことは、受講者の学習意欲が高さや受講生のニーズと内容が一致していたことが伺える。介護予防の推進として、行政等とリハビリ専門職の連携が求められる中、このような機会は大変意味のあるものと考える。しかし、本当の意味での有効性は、げんき大学卒業生が今後どのように活躍(自助・互助)するかによるため、追跡調査による効果判定を今後実施する予定である。

    【倫理的配慮,説明と同意】初回のガイダンス時に、このげんき大学に関する事項および本学と市による介護予防啓発活動についての情報について、個人情報を厳正に管理した上で、学術的目的にのみ利用する旨の説明を実施した。その上で、同意を得られた情報のみ利用した。尚、今回の参加者全員から同意を得られた。

  • 戸田 秀彦, 戸田 香, 木山 喬博, 三宅 洋之
    理学療法科学
    2011年 26 巻 3 号 411-415
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕人工膝関節置換術の術前と術後6週までの膝屈曲可動域(以下ROM)を用い,回復傾向の分析により,術後早期のROMからその後に獲得できるROMを予測することを目的とした.〔対象〕対象は126人190膝(変形性膝関節症(以下OA)81人,122関節;関節リウマチ(以下RA)45人,68関節)とした.〔方法〕疾患に基づきOA群とRA群,また術前ROMに基づき良好群,中間群,不良群の3群に分けて検討した.〔結果〕術前ROMが良好なものは術後も経過がよく,反対に不良なものは術後も悪い傾向であった.術後のROM回復角度は疾患および術前ROMによる差を認めず,回復率は術後2週までに約50%,3週までに約75%を示した.〔結語〕術前ROMは術後ROMに影響を与え,術後2週のROMから,その後に獲得できるROMを予測することが可能である.
  • 縄田 佳志, 杉本 望, 水場 真澄, 松垣 竜太郎, 賀好 宏明, 白石 純一郎, 松嶋 康之, 佐伯 覚
    理学療法学Supplement
    2020年 47S1 巻 p-2-5
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/31
    会議録・要旨集 フリー
  • 山田 南欧美, 橋本 千里, 後藤 華奈, 白石 雄馬, 岡本 正吾, 秋山 靖博, 山田 陽滋
    理学療法学Supplement
    2020年 47S1 巻 p-2-4
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/31
    会議録・要旨集 フリー
  • −刺激強度や照射時間率が筋肥大効果へ与える影響−
    清島 大資, 縣 信秀, 伊東 佑太, 木村 菜穂子, 小林 剛, 宮津 真寿美, 河上 敬介
    理学療法学Supplement
    2020年 47S1 巻 1O2-06
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/31
    会議録・要旨集 フリー
  • 阿部 真佐美, 芦田 雪, 玉井 勝是, 檜森 弘一, 山田 崇史
    理学療法学Supplement
    2020年 47S1 巻 1O2-05
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/31
    会議録・要旨集 フリー
  • 川瀬 広大, 植木 努, 曽田 直樹
    理学療法学Supplement
    2020年 47S1 巻 1P2-16
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/31
    会議録・要旨集 フリー
  • 超音波画像診断装置を用いた検討
    山田 南欧美, 橋本 千里, 後藤 華奈, 白石 雄馬, 岡本 正吾, 秋山 靖博, 山田 陽滋
    理学療法学Supplement
    2020年 47S1 巻 1P2-15
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/31
    会議録・要旨集 フリー
  • 美和 千尋
    日本温泉気候物理医学会雑誌
    2014年 78 巻 1 号 28-29
    発行日: 2014/11/28
    公開日: 2015/01/15
    ジャーナル フリー
  • *木山 喬博, 松村 仁美, 野原 早苗, 鳥居 昭久, 加藤 真弓, 勝水 健吾, 林 修司, 荒谷 幸次, 宮津 真寿美, 木村 菜穂子
    東海北陸理学療法学術大会誌
    2010年 26 巻 O-17
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/11/02
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】ピンセットを利用して試作した挟皮膚痛覚計(PPM)の物理的再現性を確認して実用性ありと、昨年の当学術大会で報告した。今回、PPMで若年健常者の上下肢の皮膚痛覚(各部位5点)のバラツキと部位差の有無を調べることを目的とした。 【方法】PPMで挟む力(y)の特性は、y = 1.04x(x:PPM先端円柱径1mmで挟まれた荷重変換器出力)、相関係数は0.9988が得られたので、挟皮膚強さとして、増幅器のデジタル値を記録した。皮膚を挟む強さを漸増し、被験者からの痛感合図を得て、これを挟皮痛閾値とした。対象は、被験者として応募してくれた学生で、左上下肢の10部位(手背中央、前腕と上腕の中央の前・後面、足背中央、下腿と大腿の中央の前・後面)を測定できた12名(20.4±0.7歳、162.1±6.6cm、57.9±6.8Kg)とした。測定点は、各部位の中点とそこから5mm内・外・遠・近位の5点とした。学内の倫理委員会の承認と被験者に内容説明後の同意とを得て、この研究を実施した。 【結果】12名の10部位の5点の測定値の変動係数(cv)の最小は2.4%で、最大は49.9%であった。5点の平均値を代表値とした12名の10部位のcvは23.5~41.0%(平均19.5%)の範囲で、痛覚閾値のバラツキはかなり大きかった。12名の10部位の平均値は、下肢よりも上肢で大きく、有意差が見られた(10部位比較の組み合わせ数45のうち、18の組み合わせに差があった)。 【考察】使用したPPMは、物理的に正確に、かつ、再現性の高い測定が可能であったが、各部位、5mm四方内の5測定点の挟皮痛のバラツキは大きかった。本実験で、「痛い」と決定する難しさと部位の痛みの質(感じ方)の違いを、筆者も被験者も強く感じ、解剖生理学的因子と共にバラツキの大きな要因と思われ、痛疼評価の難しさを痛感した。果たして、動物では如何に?
  • *木山 喬博, 松村 仁実, 野原 早苗, 鳥居 昭久, 加藤 真弓, 荒谷 幸次, 勝水 健吾, 宮津 真寿美, 木村 菜穂子, 林 修司
    東海北陸理学療法学術大会誌
    2009年 25 巻 P-23
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/04/21
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】理学療法専門書が感覚検査法を紹介しているが、2点識別覚以外はデータがない。表在痛覚もその一つである。紹介されている皮膚痛覚検査法は、刺激先端形状が一定でなく、数回加える先行検査刺激が痛覚に影響し易く、刺激強度が明確でない上に段階的であるな、どの短所がある。これらによる影響を軽減するため、細い円柱状の金属端を平面加工して、皮膚を薄く挟んで連続漸増刺激できる構造の検査器の試作を目的とした。 【方法】ピンセット(PS)の一端に直径1mmの金属を、他端に約3mm角平面の樹脂を固定し、PSに力を測るセンサを付けた。PS先端で皮膚を挟むように荷重変換器を挟み、1度に5回、4度にわたって、計20回計測し、両者の出力電圧をパソコンに記録し、相関係数と一次回帰式を求めた。次いで、手背中央部に描いた半径5mmの円の中心から距離15mmを中心に同径円を内・外側、遠・近位に5つA、B、C、D、Eを描き、各円の中心と内・外側、遠・近位に測定点を皮膚に印し、計25点の挟痛値を測定した。この測定を5日行った。他に同意を得られた女性4名の25点も計測した。 【結果】荷重変換器とPS挟み力の相関係数の平均は0.961、両者の平均一次回帰式y = 1.48x - 0.01が得られ(y:PS挟み力,x:荷重変換器)、再現性はよかった。1平方ミリ当りの力に換算した筆者の手背の挟痛閾値は172.6から113.6grで、変動係数(sd/mean×100)は8.5~16.5%と再現性はよくなかった。つまり、物理的測定の再現性がよくても痛覚の再現性は高いとは言えなかった。女性4名のそれは、41.4から86.7grであった。変動係数(sd/mean×100)は2.2%から17.4%であった。 【考察】測定器具として使えそうなので、今後は対象を増やして、左右差、部位差、個人差の有無の確認や刺激前後、治療前後の評価への実用性の確認を進めたい。
  • *美和 千尋, 谷口 和宏, 杉本 泰世, 脇山 雄多
    人間‐生活環境系シンポジウム報告集
    2017年 41 巻
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/04/23
    会議録・要旨集 フリー
    日本人の入浴方法は、全身浴が主である。この入浴方法は、入浴初期は快適な入浴であるが、その後さら なる加温効果により体温が上昇し、快適性を損なう。しかし、健康者は長時間の入浴により新陳代謝が促され、 発汗による爽快感を高めることができる。このような入浴中ののぼせを抑制して快適感が増す入浴方法の工夫が 必要と思われる。そこで今回、入浴中の深部温の上昇を抑えることで快適感を損なわない工夫を検討した。方法 として入浴中に顔面を中心とした身体上部に風を当て、入浴中の深部体温と主観的申告を測定した。その結果、 気流あり入浴は、気流がない入浴に比べ、深部体温の上昇を抑えるため、頭部の暑さを感じず、快適性が高かっ た。これらには、入浴時の気流が冷却させること、浴室換気による浴室温と湿度の上昇を抑制することが関与し ていると考えられた。
  • 河野 健一, 矢部 広樹, 西田 裕介
    理学療法学Supplement
    2016年 2015 巻 O-YB-05-3
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/28
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに,目的】近年,透析患者の高齢化が進んでいる。また,透析患者の中には骨ミネラル代謝異常にて血管の異所性石灰化が進むだけでなく,二次性の副甲状腺機能亢進症が出現し,骨代謝異常から骨が脆弱化する。さらに,食事摂取制限等により低栄養状態になることも知られており,蛋白エネルギー消耗状態にて骨格筋量の減少,骨格筋力の低下,いわゆるサルコペニアの状態に陥る患者が多い。サルコペニアのような運動器,特に骨格筋の退行性変化を伴う疾患では,身体機能や運動パフォーマンスが低下するため転倒の危険性が高いことが報告されている。また,透析患者では自律神経機能が低下していることで,透析関連血圧低下(intra-dialytic hypotension,IDH)が出現し易い。自律神経機能の低下は,筋肉量の低下と関連するとされており,サルコペニアのような虚弱透析患者ほどIDHを起こしやすく,かつ転倒しやすいと推察される。以上より,本研究では,透析患者の疾患背景,低栄養炎症状態,そしてサルコペニアといった要因が運動パフォーマンスを低下せるかどうかを明らかにし,また,運動パフォーマンスの低下が透析患者の転倒に及ぼす危険性を明らかにすることを目的とした。【方法】歩行が自立した維持血液透析患者287例を対象に,年齢,性別,透析期間,炎症状態(c-reactive protein,CRP),栄養状態(geriatric nutritional risk index,GNRI),筋力,筋肉量,歩行の不安定性(歩行周期変動係数),運動パフォーマンス(short physical performance battery,SPPB)を測定した。SPPBの低下に至る要因を共分散構造分析にてモデル化し,その適合度を検証した。次に,232例の透析患者を対象に,SPPBを含めた転倒の関連因子をCox比例ハザード解析にて検討した。【結果】SPPBの低下に至る構造モデルとして,筋力や筋肉量の低下,歩行周期変動係数の増大が直接的に影響することに加え,年齢,透析期間,炎症状態,低栄養状態が骨格筋機能の低下を介して間接的に影響を与えていた。このモデルは高い適合度を示した(CMIN=11.78,p=0.46,GFI=0.99,CFI=1.000)。そして,SPPBの低下(11点以上に対してSPPB8点以下)は,透析患者の独立した転倒危険因子であった(HR=2.33,p<.01)。【結論】透析患者の運動パフォーマンスの低下は,患者背景や疾患特性が間接的に影響しながら骨格筋機能の低下を伴って出現することが明らかとなった。また,運動パフォーマンスを測定することは,転倒の危険性を把握するうえで有用であることが示唆された。
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