音の伝わり方と聴こえ方は, 中学校・高校における生物分野と物理分野にまたがる複合的な学習事項である。音源定位の仕組みは基本的な音の性質と
感覚器
官のはたらきにより理解する。本研究では,音源定位について左右の耳の時間差と音の大きさの関係を明らかにするために,左右の大きさの割合を変えて音源の位置が正確に特定できるかについて調べた。その結果, 左右の強度比が70%を下回ると高い精度での位置特定が出来ることが分かった。この左右の強度の違いは頭部による回折などによって現実には生じるものと考えられる。一方で,左右の音に強度の違いがなく時間差だけを設定した場合は定位の精度が良くなかった。以上のように音源定位は音の性質が深くかかわっており,中学校・高校での音や感覚受容を学ぶ上で適切な教材であると考えられる。
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