走査型電子顕微鏡を用いてモモノゴマダラノメイガとマツノゴマダラノメイガ成虫の触角上の
感覚器
について形態,数,分布を比較検討した。観察に先立ち同一試料で検体の全面を観察できる特殊な試料固定装置を考案作製した。両種の触角からはBähm's bristle, s. styloconicum, s. trichodeum, s. chaeticum, s. squamiformium, s. basiconicum, s. auricillicum, s. coeloconicumの合計8種類の
感覚器
が見いだされ,これらの
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の形態および分布様式には性差あるいは種間差はなかった。一方,いずれの種においても,s. trichodeumは雌よりも雄に多く,その数は8,000∼8,500本(雄),6,500∼6,800本(雌)であり,逆にs. basiconicumは雄(760本)よりも雌(1,400本)に多く見いだされた。しかし,残りの7種類の
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に関しては数の上での性差は両種にはみられなかった。以上の結果から,モモノゴマダラノメイガとマツノゴマダラノメイガは,すでにそれぞれの触角上の嗅覚
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の匂い物質に対する感受性は一部分化しているが,
感覚器
の大きな形態的分化はまだ起きてないと結論した。
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