愛知用水は, 水不足に苦しんできた知多地域の人々の熱心な働きかけによって, わが国初の大規模総合開発事業として昭和30年から36年にかけて実施された。この事業は, 事業効果の早期発現のため, 事業主体を公団とし, 世銀借款, 海外技術の導入, 大型機械施工, 末端までの一貫施行, 上水道・工業用水道・発電への資金供給等によって, 牧尾ダムおよび地区内の3調整池, 約112kmの幹線水路, 1,000km余りの支線水路などの施設を昭和32年8月の世銀借款協定締結以降5年余りの短期間で完成させ, 通水開始以降, 農業, 都市生活, 中京工業地帯に大きく貢献し, 中部経済圏の発展に重要な役割を果たしてきた。夢の用水と言われた愛知用水事業の生い立ちと事業の特色について報告する。
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