地域歯科診療支援病院や地域の療養病棟を有する病院の後方支援により, 戸塚歯科医師会訪問歯科診療協力医が中心となり終末期口腔がんの緩和ケアに取り組んだ要介護高齢者の事例を報告し, 横浜市
戸塚区
における地域完結型の医療連携モデルを紹介する。
症例は87歳男性。介護福祉士であるケアマネージャーの指摘により, 訪問歯科診療協力医から
戸塚区
の地域歯科診療支援病院歯科口腔外科に紹介され顎下腺腫瘍の転移が疑われたため, さらに横浜市のがん拠点病院を受診し腺癌と診断され左仙骨への転移が疑われた。末期がんであることが告知され, 協議の結果患者と家族は緩和医療を選択し在宅療養を希望した。病病連携·病診連携により患者情報が共有され, 訪問歯科診療協力医に対して地域支援病院による後方支援の体制がとられ, 最大限在宅療養を継続し最後まで口腔ケアを施行した。
在宅緩和ケアを地域で完結させるには, 在宅医療を後方支援する医療機関等を含めた地区の身近な生活圏域における既存の資源を最大限に活用した医療連携体制の確立が重要である。そして広がったネットワークが地域における生活の質を重視した医療を支えていくことになると考えられる。
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