情報国
文学
という語は藤原鎮男会長による創作である.1994年, 情報学の手法を国
文学
に導入したらどういう形になるか, それを情報国
文学
と呼び, 情報国
文学
の構成を図られた[1]その後の国
文学
研究資料館などでの諸活動は, ご趣旨に沿うているか甚だ疑問であるが, 古典
文学
に関わる目録, 全文, 原本画像, 演能などのデータベースとシステムの開発研究はかなり進んできている.本講演では, 主として国
文学
研究資料館などにおける研究事例を紹介しつつ, 蓄積されてきている様々な情報資源を活用する
文学
研究とは何かについて, 報告し, ご批評を得たい.
人文科学とコンピュータという新しい領域の問題解決に向けての研究活動が, 国内外において盛んである.例えば, 最近のシェークスピアの作品の真贋鑑定などの目覚ましい成果をあげることができる.もちろん, 日本
文学
研究へのコンピュータ利用も進んでいる.とりわけ, 1999年は極めて画期的な年であった.3種の源氏物語のデジタルテキスト, 索引等のCD-ROMの市販, および国
文学研究資料館からの日本古典文学
本文データベース(実験版)のインターネットによる試験公開(約600作品)などである.
今後, 益々重要な日本
文学
研究資料のデジタル化とその公開が, インターネット環境並びに電子出版環境において加速されよう.しかし, 我々に課せられる課題は多いし, 大きい.例えば、IT革命の進行の中で, 新しい日本
文学
研究の展開はあり得るのであろうか.不幸にして, 未だ然したる研究成果は得ていないように思われる.今後, 日本
文学
研究がどのように惰報技術を利用していけるか, あるいは参画することができるかについて, 私案を述べ, ご批評を仰ぎたい.
なお, これからのキーワードと思われる電子資料館システムと, コラボレーションの展開についても触れる.
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