1970年代より日本医科器械学会や日本ME学会が中心に, 米国ですでに普及していた病院の医療機器を一括管理するMEセンターの有効性に着目し, わが国での普及を啓発してきた. しかしながらその普及は一部の理解のある施設のみに止まっている状況であった. 当時を振り返ると, 医療機器の保守管理に対する医療機関の認識が極めて希薄であり, 特に, 医療に必要不可欠な「物」としての医薬品に比べ, 医療機器は製造,販売,使用とどの段階においても管理意識が低かったと考える. そして近年, 社会構造改革の進展に伴い, 医療社会も大きく変わってきた. 特に社会福祉の原点が
日本国憲法第
25
条
「生存権, 国の生存権保障義務」であるものの, 昨今の流れは第13条の「個人の尊重, 生命,自由,幸福追求の権利の尊重」を基本とした社会へと移りつつあり, これは医療の情報公開やインフォームドコンセント等に見られるごとくである. この流れ中で社会問題として顕在化したものが「医療事故問題」である.
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