背景:病棟再編成は病棟看護師(以下,スタッフ)や看護実践に否定的な影響を及ぼすことがあり,病棟看護師長の行動は重要である.
目的:看護師長とスタッフの病棟再編成の経験をもとに,病棟再編成プロセスにおける看護師長の行動を明らかにすることを目的とした.
方法:質的研究デザインを選択し,病棟再編成を予定している病棟では3時点の縦断的調査を行い,師長・スタッフに対する半構造化面接及び病棟観察を実施した.また,過去に病棟再編成を経験した師長に対しては半構造化面接のみを実施した.修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを参考に,質的帰納的分析を行った.
結果と考察:病棟再編成プロセスにおける師長の行動は,[病棟に関係する医療従事者相互の納得のもと,患者にとって安全で,円滑に業務遂行できることを目指し,『病棟を整える』]ことであり,【4つの行動方針】:「スタッフが新しい環境・業務を絵や動きとしてイメージできるよう導く」「病棟での新しい環境・業務について,各病棟関係者間の折り合いをつけ,合意を確認する」「病棟関係者がお互いに納得できるよう課題の改善策を見出す」「スタッフが肯定的に業務に取り組めるよう支援する」により成り立っていた.また,これらを実現する【12の実践行動】が明らかになった.師長は病棟全体を視野にいれ,【4つの行動方針】に沿って【12の実践行動】を組み合わせながら『病棟を整える』ことが必要であった.
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